幅3.8mの造作キッチン。
搬入経路が限られるマンションでは、
長い天板を一枚のまま運び込めないことがあります。

水や油、食品を扱う空間であるキッチン。
見た目を美しく納めることだけでなく、
継ぎ目に汚れや水分が溜まってしまわないことも重要。
継いだことを感じさせない美しさと、継いだからこそ必要になる機能。
その両方を、一本のラインに納めていきます。
■一枚ではつくれないもの
キッチンの天板に限らず、
リノベーションの現場では、さまざまな場面で複数の材料を継ぐ工程と向き合います。

例えば、木板張りの壁。
木目や、着色した際に隣り合う色を、なるべく自然な並びとする。
リブパネルであれば、凹凸のピッチや角を均一に納めていき、
途切れを感じさせないひと続きの面をつくり出します。

木張りの壁をつくるということは、
単に素材を一面に敷き詰めるだけの作業ではありません。
木目、色、ラインを繋ぐことは、
その先に続く空間との空気感を繋いでいく。
住宅は、そこに人が暮らし、日々を重ねていく場所です。
だからこそ、素材を美しく納めるだけでなく、
暮らしを包む空間そのものが心地よくつながっていること。
そこまで考えて、ひとつひとつの素材を継いでいきます。
■柄を継ぐ
規格サイズで幅が決まっているクロスは、継ぐことを前提とした素材です。
中でも柄クロスや木目調のクロスは、継ぐという工程により慎重になります。

一枚ずつ施工していくクロスも、最後に見せたいのは一つの絵としての面。
違和感なくその世界観を繋げること、
その後に設置されるスイッチプレートや器具などの位置などまで想定して、
丁寧に貼り始めや納め方を見極めていきます。
■継ぐことで、描げるもの
空間をつくっていく上で、素材同士を継ぐという場面は避けて通れません。
長い天板も、連続するリブの壁も、大胆な柄のアクセントウォールも、
それらを美しく成立させる方法があるからこそ、表現できる空気感があります。
施工の精度や技術は、つくりたいものの可能性を狭めないためにある。
継ぐという仕事もまた、自由な空間づくりを支えるひとつなのだと思います。
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