手かけ
第1回は「留め加工」、第2回は「見切り」と、割とニッチな部分に焦点をあててご紹介してきた技レポですが、
第3回目の今回は、空間の意匠にも大きく関係してくる「手かけ加工」についてご紹介いたします!
近頃DIYショップやホームセンター等でも、おしゃれな取っ手やツマミを見かけること、多いですよね。
これらのパーツ類は造作家具(キッチン引出し/小上がり/収納扉など)に取り付けます。
シンプルで直線的なものや曲線が強く装飾的なもの、はたまたヴィンテージ品まで。
種類が多く見ているだけでも楽しい取っ手ですが、あえてデメリットを挙げるとすれば
どうしても面材からパーツが出っ張ってしまうこと。(面材:引出しや扉の板のこと)
部屋の中でドアノブにぶつかったり、服の裾が引っかかったりしたこと、皆さんも一度はあるのではないでしょうか?
面からパーツを飛び出させることで扉を開けやすくする取手ですが、今回紹介する「手かけ」はその反対。
面材を加工してくぼみや穴を施すことでその名の通り手を引っ掛け、扉を開けられるようにするのです。
面材のみで完結する手かけ加工はシンプルですっきりとした仕上がりに。
それでもその種類は様々で、一口に手かけと言っても奥が深いのです。
それでは実際にご紹介していきましょう◎
① 穴あけ加工
リノベーション事例:「in Parallel」(東京都杉並区)
こちらはキッチンの引出しと収納扉。
見て分かる通り面材の一部を切り欠いているのですが、その形状や大きさ、手が触れる部分の加工には細心の注意を払っています。
扉をストレスなく開けることができ、全体のデザインにも邪魔をしない絶妙なバランスで設計されています!
② 掘り込み加工
リノベーション事例:「SIMPLE×ASIAN」(東京都渋谷区)
リビングの一角に設えた小上がりスペース。下は引き出し収納になっています。
幅約1mの大きな3連収納を引き出すために施されているのは、15cm×5cmの「掘り込み加工」。
穴の裏からさらにもう一枚板を貼り合わせることで、中がチラ見えすることなく、一見収納とはわからないほどすっきりとしています。
こだわりが潜んでいるのは穴の内側。
指をかけたときにフィットするように、上部を削って少し残しているのです。
写真はまだ荒削り状態ですが、ここからさらに大工さんが現場で時間をかけてヤスリ掛けをしてくれ、
しっかり指にフィットするようになりました^^
③ J手かけ・Vカット
最後にご紹介するのは、またまたキッチン。
一見収納があるとは分からないようなすっきりとしたシンク下。
こちらの引出しと食洗機の部分を…
オープン!
お分かりいただけるでしょうか???
手前の食洗機の扉には文字通りJの形の「J手かけ」、奥の引出し面材には斜めに角度が付いた「Vカット」が採用されています。
面材同士に少しだけスリット(隙間)を入れて、そこに指が入るようにしているのですね。
これこそ、「ザ・シンプル」と言うべき手かけ加工ではないでしょうか。
もちろん加工方法は他にもたくさんあるのですが、今回はnuリノベーションの施工事例でよく用いる3種類をご紹介しました◎
みなさんはどの「手かけ」が気になりましたか?
こだわりの詰まった技レポはまだまだ続きます^^
次回の投稿もお楽しみに!