
洗練された空間を引き立てる建具として注目されているテンパードア。
近年nuリノベーション(以下、nu)の施工事例でも取り入れる機会が増えてきたテンパードアの魅力を、実例を交えてご紹介します。
■テンパードアとは
テンパーとは「強化」という意味。
その名の通り、テンパードアとは強化ガラスを使ったフレームレスのドアを指します。
透明のガラスを使用したものもあれば、視界を程よく遮断してくれるブラックガラスのものもあります。
テンパードアの魅力は、シャープで洗練されたデザイン性を楽しめること。さらに、しっかり仕切られているのに奥の空間との連続性が感じられる、ガラス建具特有の開放感も人気の理由の一つです。
■テンパードアの実例
早速、テンパードアを取り入れた施工事例と工事中の様子をみていきましょう。
・リノベーション事例「conceptArt」(東京都足立区)
LDKと、隣接する個室との間にテンパードアを採用したY邸。
Y邸ではLDKは美術館をイメージした白い空間、個室は博物館をイメージした黒の空間と異なるデザインコンセプトで空間づくりをしているため、“白と黒の切り替え”として、テンパードアはイメージにぴったりだったそう。
すっきりとした見た目とは裏腹に、テンパードアは通常の戸板と比べてかなり重量があります。
そのため、空間に取り入れる際には壁の下地補強をしっかりしたり、適切な蝶番を選定したりすることが大切です。
また、重量のあるテンパードアを設置する際には、建具自体はもちろん設置場所周辺の床や壁を傷つけてしまわないよう細心の注意が必要です。
△建具の設置作業中の職人さん
手元をよく見ると、カーペットを敷いた上に木のピースを噛ませて建具の高さを微調整しているのがわかります。
さらによく見ると、実は写真に映っている職人さんの横にもう1人職人さんがいて、扉が倒れないように支えながら微調整をサポートしています。
このように、テンパードアの施工にあたっては建具の施工を熟知した職人さんの技と、息のあった連携プレーが不可欠なんですね。
念願のテンパードアを設置して、開け閉めするたびに高揚感があると嬉しそうに話すY夫妻。
扉のすぐ横にご主人の趣味棚を造作したり床材にこだわったりと、ドア越しの空間の見え方にもこだわったといいます。
・リノベーション事例:「seamless design」(東京都港区)
続いての施工事例は、LDKと廊下の境にテンパードアを採用した空間。
一面モールテックスで継ぎ目なく仕上げた床や、造作キッチン〜廊下の壁面収納〜エントランスまで続く木壁の連続性を引き立てるため、ノイズの少ないテンパードアを採用しました。
間取りの都合上、廊下〜玄関にかけて外部に面する窓がなく暗さが気になっていたといいますが、テンパードアにしたことでLDKの自然光がエントランスまで届いています。
自然光を反射するモールテックスの質感や真っ白な壁・建具も相まって、アートギャラリーを思わせる美しい空間に仕上がりました。
ということで、今回はテンパードアについてご紹介しました。
ガラス一枚で構成されるシンプルさと、その見た目以上に繊細な施工の技。
デザイン性だけではなく、空間の奥行きを広げてくれるテンパードアに、今後も注目です。