既製品の住まいには興味の無かった30代Y夫婦は最初から他の選択肢は排除し、都心の中古マンションを買ってリノベーションしました。こだわりの家具や小物に合うヴィンテージらしさを楽しむ家を手に入れました。
ピカピカの即製品には興味がありません
利便性と遊びと刺激。街暮らしはやっぱり魅力的です。Y夫妻のお住まいは新宿駅から歩ける距離にあります。住まい探しのきっかけは、住んでいた賃貸が手狭になったこと。今まで住んでいた中野のエリアで広い賃貸で探してみると、家賃がかなり上がってしまう。であれば、購入したらどうだろうと思い、住宅購入を考え始めたそうです。「ツルツルピカピカの既製品に興味がなかったんです。」
Y夫妻の住宅購入には新築という選択肢はありませんでした。「戸建てかマンションで考えても、同じ平米数で2階建ての戸建てよりは、ワンフロアーのマンションの方が空間が広々とれると思ったんです。」と話すY夫妻には中古マンションが理想の選択だったのです。Y夫妻の物件探しの条件は80m²位、ペット可。エリアは初台や笹塚で探していたものの、新宿に近くなることには抵抗はなく、条件も立地も納得のいく物件はこの物件しかありませんでした。築28年でも管理がとてもしっかりしていて共用部やエントランスがとてもきれいだった事も魅力でした。
本物の質感と古いからこそ出る味わいを追求
中古マンションに何らかの形で手を加えようと、考えていたという旦那さんは、家具屋さんにお勤め。リノベーションという手法は以前から知っていたそうです。物件の購入が決まり、リノベーション会社を探し始めました。インターネットで見つけた何社かを選び、会社に足を運んでみると、今までの施工事例や相談会の対応、オフィスの印象などでnuに決めるのには悩まなかったといいます。いよいよnuでのプランニングです。旦那様のこだわりは細部にまでありました。「○○風は嫌なんです。ニセモノは、使っていくうちにゴミになってしまうものだと思っています。」本物である事をとても大切にしている旦那様の一番譲れなかったのが無垢のフローリング。お持ちの家具や好きなテイストからチーク材が良いと以前から考えていたそうです。チークは家具等で使用される高級品。質感と存在感のあるフローリングはリビングの主役です。また、3年前から愛犬(ドミノ)を飼っているお二人。腰に負担のかかりやすい犬種のドミノが歩きやすいようにする為にもすべりにくい無垢材を選びました。リビングの要望は少しずつ買いそろえてきたこだわりの家具が理想的に配置できる事、ドミノの生活スタイルを考えても、広々とゆとりのある空間にしたいという点でした。しかし、プランニングを進めている間に想定していなかった構造壁が。提案していたプランではキッチンが配置できません。そこで、この壁を活かしたプランに変更。20畳の広さは確保したままキッチンの位置を移動し、あいた空間に3.4畳のウォークインクローゼットを設置しました。アパレル関係のお仕事をしている奥様は洋服や靴等もたくさんお持ちで、大容量収納でちょうど良かったと話します。そしてキッチンの横には15センチの段差をつけたステージに。ここはドミノの場所になっていて、遊びにきた友人もこの段差に腰をかけてドミノと遊ぶことが多いそうです。「構造壁が出てきたときは驚きましたけど結果オーライでした。むしろこのプランに出来てとても良かったです。」
以前から寝室は寝るだけ、ほとんどの時間をリビングで過ごしたいY夫妻とドミノにはとても理想的なプランとなりました。そして昔からオーダーしたかったという“チーク無垢材のキャビネットとデスク”を造作。ターンテーブルやレコード、小物などが並べられています。建具にも既製品はなく、Yさんの希望の色に塗装で仕上げました。リビングの扉はガラスをはめてあり、落ち着きのあるブルーは印象的なアクセントになりました。将来の子供室は奥様のご要望で壁一面を黒板塗装で仕上げました。「最初の予算よりも少しづつ増額したけどとても満足しています。」と話すY夫妻は“現状維持”ではなく、これからも少しずつ手を加えていくつもりだと言います。
ひとつひとつを選択していくリノベーション
「リノベーションをしてみて、とても楽しかったです。出来ればもう一回やりたいなぁーなんて考えてます。」将来移り住む予定はないものの、実家に戻ったり、住み替えたくなる可能性も考えると立地や管理状態も含め資産価値のある物件を購入して良かったと話します。愛犬の名前“DOMINO”これはYさんがコレクションしているスウェーデン製小物のシリーズ名からとったそうです。この小物も古いもので、時間の経過があったからこそ感じられる味わいと深みがあります。Yさんの家を見渡すとそんな雰囲気のある小物や家具ばかりでした。フローリングや建具、家具も本物であるからこそ感じられる質感にこだわり、キズがついたり、歪んだりしたものを味わいとして楽しんでいきたいというY夫妻の思いがつまっている物件です。“新しいからいいという基準ではなく、古いからこそいい”という考え方は中古マンションにも当てはまります。立地、レトロな味わいの外観は新築では出せないその味を楽しんでいくというものにも繋がっていると感じました。現在、注目されているリノベーションの需要は確実に増えつつあります。しかし、完成形を具体的にイメージできずに結局パッケージ化された商品を選び、その可能性を失ってしまう人も少なくないでしょう。ひとつひとつのものを思いを込めて楽しんで選び、愛着のあるものに囲まれて暮らす。リノベーションはそんな暮らし方を実現できるひとつの方法です。