立地にこだわったO夫妻は中古マンションのリノベーションを選択しました。O様ご家族の生活スタイルが反映された住まいは洗練された暖かみのある空間になりました。
新築、中古、戸建てを問わず、ほとんど見ました
施主のO夫妻がリノベーションしたお住まいは世田谷区成城。閑静な住宅街で人気も高く、新築マンションの供給がきわめて少ないエリアです。このエリアに以前から住んでいたというO夫妻は5才の息子さんがいる3人家族。住宅購入のきっかけは、会社から出ていた住宅補助の期限が近づいていた事と、息子さんの小学校の入学時期も近づいていた事でした。「探し始めた頃はいいものがあれば…と思っていましたが、色々なタイミングを考えて本格的に探すようになりました。」希望条件はエリア重視。旦那様の通勤、子育ての面でも奥様の双子の妹さんが近くに住んでいたため、譲れなかったと言います。「成城~経堂あたりまでの物件は新築、中古、戸建てを問わず、ほとんど見ました。でも新築や戸建ては内装が安っぽかったり、和室があったり、自分達の好きなテイストや生活スタイルに合うものはありませんでした。」奥様はクウォーターで、小さい頃から海外生活の経験があったそうです。育った環境のせいもあって、日本の建売住宅には魅力を感じませんでした。「知り合いがリノベーションした物件に住んでいて、見に行ったことがあるんです。築35年の物件でしたが、中はとてもきれいで、こんな方法があるのかと驚きました。」リノベーション会社を紹介してもらったものの、設計費などが高かったため、別の会社を探し、nuの無料相談会に参加しました。「すべての可能性を検討した結果、自分達の予算の中で理想に一番近い家を手に入れるには、中古マンションのリノベーションだと思いました。そこからは物件探しもプロに任せた方が良いと考え、nuさんにお任せしました。新しく出てきた中古物件もタイムリーに紹介してくださって、2ヶ月位かけて何物件も内見しました。」そして、こだわっていた成城のエリアはもちろん、84平米、日当り、駐車場などの要望をすべてをクリアしている上に、専有庭付というこの物件にたどり着きました。
洗練された暖かみのある空間
物件の購入が決まり、プランニングが始まりました。要望は、”将来子供が増えた時には2LDKから3LDKへ間仕切りを増やせるようにしたい” “洗練された空間が好きなので、生活感を出したくない”というのが大きなテーマになりました。
デザイナーが提案したいくつかのプランからしぼっていくと、キッチンの配置がポイントとなりました。水廻りの回遊性のある導線、キッチンの収納力、どちらも譲れなかった時に両方の良さを取り入れたプランをつくりなおし、修正をしていきました。ダイニングスペースの中心にアイランドキッチンを配置、回遊性をもたせ、キッチン背面には大きなパントリーを設けました。パントリーは引き違い戸にして、冷蔵庫や電子レンジ、食器や保存食品等すべてが収納できます。また雑多なものを収納できるよう、大型のウォークインクローゼットもつくりました。南北に窓のある物件の特徴を活かし、一直線に風が通り抜ける “風道” をつくり、導線、収納力、風通しなど、納得のできるプランを創りあげていきました。「プランニングの時には予算との兼ね合いで優先順位をつけるのに一番悩みましたが、より良くする提案をしてくれたので、納得して進めました。」と話します。昔からインテリア雑誌を見るのが好きだったという奥様。海外生活の影響もあってフローリングには馴染みがなかったそうです。「LDKの床はカーペットやタイルが良かったんです。好きな雰囲気の雑誌を見せたら希望にピッタリな床材や壁材を提案してくださって、仕様で迷うことはありませんでした。」ダイニングスペースにはアースカラーの磁器質タイル、リビングのくつろぐスペースにはフカフカした踏みごこちのカーペットを貼り分けました。壁のアクセントにもアースカラーのクロスを貼り、上品な印象の空間になりました。子供室はビビットな緑色のアクセント塗装。将来、お子さんが増えた時には間仕切り壁の増設をできるようにプランニングをしました。洗面台とキッチンは同じモザイクタイルを使用。高級感とひとつひとつに表情があるタイルで、空間のアクセントとなっています。浴室は暖かい色合いのタイルで造作しました。玄関にはニッチを配置。照明で照らされたディスプレイが迎え入れてくれます。
家族の過ごし方から住まいを考える
“TRANSIT” というタイトルは飛行機の乗り継ぎや通過点という意味があります。元々、奥様は友人を家に招くことの多かったため“多くの人が集まり、日常から少し離れて羽根を休める場所になってほしい”という思いを込めて、このタイトルが付けられました。「キッチンは、一日の中で頻繁に使う場所。だから家の外も中も眺められる一番良い場所にしたかったんです。」そう話すO夫妻はお二人ともキッチンを使うことが多いそうです。「子供が遊んでいても、常に気配を感じていられるのも良いですね。友人を招いたときもキッチンで作業しながらコミュニケーションをとれるので、とても気に入っています。」中古物件の築年数を聞いて、猛反対していたご両親も、完成した家を見て、納得してくれたそうです。自然と家族が集まり、顔をあわせてコミュニケーションをとれる場所ができたこと、そしてキッチンが生み出してくれる新しい時間の過ごし方をつくり出したこのプランは、家族との関わり方をも誘導してくれるひとつのツールのようにも感じました。リノベーションの良さは単に好きなテイストや雰囲気の家にかきかえられることだけではありません。一緒に暮らす家族や招いた人など、すべての人たちとの関係性を築き上げるひとつのツールにもなっています。既に決められている間取りに合わせて暮らすのではなく、家族の理想の在り方から住まいを考えることができるのもリノベーションの魅力なのでしょう。