丸窓や天然木のルーバーから漏れる光‥そして夜空を連想させる黒やブルーの色使いがクールな “月” を思わせる住まいです。
ヒトとネコとリノベーション
東京都世田谷区。ローカルな雰囲気漂う駅から少し離れた閑静な通り沿いに、Kさん宅があります。Kさんは、大規模建築の女性設計士。 一緒に暮らすのは、Kさんの妹とアメリカンショートヘアーのバンビーノくんの、女子2人+猫1匹。Kさんが物件購入を考え始めたのは、昨年の1月。 自宅でも仕事をするようになり、物が増えてきて前に住んでいた家が手狭になったので、家を買おうかな‥と思い立ったのだそうです。最初は新築での購入を考え、女性向け の新築マンション購入セミナーに足を運んだそうですが、話を聞くと希望の予算に合わず、また女性2人で住むのに丁度良い間取りのものは新築ではなかなかありませんでした。 女性2人で住むのに、他に何か方法はないのか?と色々調べているうちに、当初全く考 えていなかった中古マンションを購入してリノベーションをするという選択肢に出会います。どうせ家を買うなら自分の好きなテイストにしたい!この考えを胸に書店へ出向き、バックナンバーも含め山積みにされていたリノベーション 専門誌『リライフプラス』を片っ端から手に取って読みました。その中で気になった物件は、 ほとんどがnuの手掛けたものだったとのこと。いくつか調べてみたリノベーション会社の中でも nuのHPは見ていて楽しそう!ここなら楽しく設計が出来そうかも!と思い、相談会に 申し込まれました。 物件探しでは、以前世田谷区や杉並区に住んでいたこともあり、住み慣れたエリアで、且つ周りの眺望の良いマンションを希望していましたが、予定していた予算との兼ね合いが難しく、 特にペット可能なマンションという物件が少ないところに大変苦労したといいます。 しかしnuのアドバイザーと一緒に見に行った最後のこの物件で、良い出会いが出来ました。 「アドバイザーの方はリノベーションの知識が豊富で、動かす事の出来ない水廻りや壊 せない壁について色々と説明していただき、一緒にどんな家にしたいかなどのイメージ を膨らませながら見て回ることが出来ました」とKさん。そのお陰でさらにリノベーショ ンしたい!という気持ちが強くなったのだとか。 さらに、マンションの周辺環境が良く、窓を開けるとすぐに庭に生い茂る木々が見え 眺望が良い事、共用エリアの管理が行き届いていることなどが最終的な決め手となって、 世田谷区にある56㎡の物件をご購入いただきました。
“カッコいい”女子部屋のカタチ
①なるべく間仕切らず、開放的な空間にしたい。 ②そして、家のどこかに丸窓をつけたい。 ③女子2人で住む部屋だけど、”かわいい”ではなく”カッコいい”部屋にしたい! nuのデザイナーとの最初の打ち合わせでKさんが希望したのはこの3つでした。 最初のヒアリング時に、Kさんから映画『バグダッドカフェ』が好きだと聞いたデザイナーは、 そのポスターからカラーを連想し、メインとなるアクセントカラーはブルー、その他のベース カラーとしてクリームイエローを提案しました。 また、躯体現しの天井に、床はブラックと、とてもクールな印象のカラーで揃えています。 窓の丸いカタチが月のように見えることや、ブラックの床からくる夜空の雰囲気から、デザイ ナーはKさん宅のコンセプトを『MOON』と名付けました。 仲の良い2人姉妹の為に完成した家のプランは、扉や間仕切りを限りなく取り払った開放的な 1LDKプラン。2人の仲もいいのでベッドスペースは2人で一つの最小限に。そうする事で残り のスペースを広いリビングに割当てました。 また、オシャレで服の多いお2人。「大きなWICを家のどこかにほしいとデザイナーさんにオ ーダーした所、いろんなWICのカタチを提案してもらいました」とKさん。数あるプランの中 で、最終的に決めたのは大胆にリビングの真ん中へWICを配置したプラン。中央のWICを中心 にダイニングスペース、リビングスペース、ワークスペースと、くるくる歩き回れる回遊性の あるプランは、まるで家の中に路地裏があるような印象を受けます。「壁に収納を配置するよ りも間口が広くなるし、私たちの生活スタイルにはぴったり」と決めた理由を語ってもらいま した。 カッコいい女子部屋の床は、ブラックに塗りつぶしたインテリアラーチ合板。 「木目の感じも出ていて、今はこれがとても気に入っています」とニッコリ。 床=フローリングだけではない、そんな提案が出来るのもリノベーションならではです。 部屋の雰囲気に合わせて購入した、無垢のパインで出来たバーチカルブラインドからは心地良 い月の光が漏れ、夜空床を美しく照らします。 一番のお気に入りは、開放的なLDKをWICを中心としてゆるやかにパブリックゾーンとプライ ベートゾーンにエリア分けしているところ。「最初のプレゼン後、どうしてもこのWICが真ん 中にあるプランが忘れられなくて。そこは絶対に変えずに、その他の部分の詳細を一緒に詰め ていったという感じです。」プレゼンテーションの時点で、Kさんとデザイナーの頭の中のイ メージはどこかでしっかり繋がっていたのかもしれません。
ヒトもネコも寛げる居心地の良い月の世界
前の家では、それぞれの部屋もあり、あまり一緒に過ごす時間がなかったK姉妹。しかし、新居に引っ越した今、2人がよくいる場所は大好きなリビングです。「とても居心地が良くて、私が仕事から帰宅するといつもここにいるよね」と話しかけ るKさんに、「うん、大体の時間はバンビとここにいますね」と妹さん。ネコのバンビーノくんも、この家のリビングはとても落ち着く居場所のようで、以前お住まいだった家では高いところに登ったきりなかなか降りてこなかったそうです。 しかし、リノベーションをして引っ越してからというものの、 リビングのソファでKさんの膝の上に乗り、一緒に寛ぐことが多くなったそうです。ヒトにもネコにも居心地の良い空間が出来たと、大変喜んでいただけました。もともと古道具が好きだったというKさん。 AVボードやキッチンのニッチ棚など造作の家具に合わせて、今回新しく購入したのも古 道具屋さんで見つけたもの。特に、玄関土間にある靴箱が懐かしくって雰囲気が出てい ます。キッチンのバックカウンターに並ぶ、素朴な食器たちも良い感じ。居心地の良い リビングから、姉妹でキッチンに立っている姿を見てなんだか馴染みのカフェに遊びに 来ているような感覚に陥りました。2人のご友人が家にやってくると、この部屋を見て、皆いつもとても驚かれるそうです。 案内しなくとも、WICの周りをぐるぐる。誰もが一体どうなっているんだ?!と気になる プランとのこと。そんなオリジナリティが高くクールなカラーのプランの中に並ぶ、人の 温もりがある家具や小物たち。そのギャップが、居心地の良さを生み出しています。今後はバンビーノくんがさみしくないように、ネコがもう一匹増える予定です。 趣味の合う姉妹2人で、楽しく会話をしながら少しずつ増える家具や家族‥黒やブルーのクールな夜空に包まれて、2人と1匹だけの月の明かりを楽しむ カッコいい大人姉妹の女子リノベ空間・MOONの世界にお邪魔しました。