デザイナーズ家具を置いたモダンな空間。そこにアクセントをつけるのはクラシックな雰囲気漂うブリックタイルを張り込んだ壁。響き合うモダンとクラシックの余韻が美しい、そんなお部屋が完成しました。
インスピレーションを感じた瞬間
O夫妻のお住まいは、新宿区中落合。新宿駅から電車で10分、のんびりとした空気が流れる住宅街の中にあります。ご主人はアパレル会社、奥様はデザイン会社でお仕事をされています。O夫妻は10年程前に初めてリノベーションという言葉を知り、興味を持たれたそう。「新築の決まりきったデザインが好きでなかったし、もっと家にこだわりたいという思いが強かったんです。金額の面でもリノベーションのほうが安いイメージがありました。」とご主人。しかし、当時はリノベーションといえばオフィスやカフェが対象で、個人に向けて提供している会社はあまりなかったそう。その時はあきらめたものの「いつかはリノベーションをしたい」という思いをずっと抱き続けていました。そんなO夫妻が物件を購入するきっかけになったのはマンションの更新日。今ならリノベ会社もたくさんあるし、一生家賃を払い続けるなら中古マンションを買ってリノベーションしよう!と決心されたそうです。nuとの出会いはWEBサイト。「いろんなリノベーション会社をネットで探していました。ある時nuの施工事例を見て、何かピン!ときちゃったんです。インスピレーションですね。」とご主人。その後すぐにnuの個別無料相談会に参加された奥様。具体的な事は決めずに参加されましたが、リノベの基本や物件の探し方を聞いてさらにリノベーションに興味が湧いたそう。家に帰ってきた頃には「nuでリノベーションをする!」とご主人に宣言していたのだとか。リノベーションをすると決まれば次は物件探しです。物件購入でどうしても譲れなかったポイントはお部屋からの見晴らし。場所をあまり絞らず中央区や大田区まで様々な物件を見られたそうですが、最終的に築30年、50.76㎡の中落合にある物件を購入されました。決め手になったのはなんと言っても視界をさえぎらない、見晴らしの良さ!晴れた日には遠くにある新宿のビル群まで見渡す事ができます。他にも南向きで日当りと風通しが最高な所もポイントになったんだとか。ベランダの窓と廊下側の窓を開けておけばとすーっと風が通るので、夏でもエアコンいらずだそう。
響き合う2つの要素
物件取得後、デザイナーとの初回打ち合わせにO夫妻が持参したのは1冊のプレゼンブック。そこには取り入れたいアイテムやその優先順位、間取りの希望まで叶えたい夢がぎっしりとつまっていました。「各々で好きな素材やお部屋の画像をネットで探し、それを2人ですり合わせて作ったんです。」と奥様。クラシックとモダンを取り入れた、緊張感のある空間にしたいとのことでした。その要望を叶えるためデザイナーが提案したコンセプトは「美しさの余韻」。
クラシックな要素とモダンな要素が美しく響き合う、ホテルのような部屋をイメージしました。そして、出来上がったのはブリックタイルの壁を間接照明が照らす1LDK+WIC。クラシックな印象の壁にしたかったO夫妻は石のタイルを貼る予定でしたが、着工までにタイルの生産が間に合わないということが発覚。そんな時デザイナーが代わりに提案したのは、ブリックタイル。均一でない色味が特徴のレンガ調タイルはヨーロッパの古倉庫を思わせます。「光があたると表面がキラキラ光ってとってもきれいなんです。むしろ石のタイルよりこっちの方が良かったかも!」とご主人。その対面にはガラスの壁でLDと仕切ったベッドルームがあります。ブラックの格子を取付けたガラスの壁は以前から取り入れたいと思っていた要素。ガラスで仕切ることで開放感が感じられ、光が空間全体に行き渡ります。ブラックの枠をはめて、キリッと緊張感が感じられるようにしたのもポイントです。ベッドルームの隣にはWIC。クリスチャン・ルブタンの靴が好きだという奥様のために、WICの壁はビビットな赤を選びました。毎日この高級ショップのようなWICからお気に入りの服や靴を選びお仕事へ向かわれるそう。奥様のこだわりはWICだけでなく洗面室にも見られます。奥様は地元のホテルに宿泊したとき、洗面室の床に張り込まれていたモザイクタイルがとても気に入ったそう。あの洗面室の床のようにしたい!という要望にデザイナーはそれならとオリジナルでタイルの柄を組み合わせる事を提案しました。
奥様がデザイナーと一緒に悩みながら完成させたのは、ネイビーとホワイトのタイルを合わせたクラッシックな雰囲気漂うデザイン。「本当に、何通りも試しました。手間をかけた分、洗面室はすごくお気に入りのスペースです」と奥様はにっこり。一方ご主人が一番こだわった場所はキッチンスペース。絶対ゆずれなかったのは憧れていたブラックのTOYOキッチンを置くということ。コンロ横のキッチンパネルも床に貼ったタイルも、キッチンと同じブラックで合わせました。「以前はほとんど料理しなかったんですよ。でも最近では料理が楽しくなってきて、サバの味噌煮まで作れるようになりました。」とご主人。初めキッチンは壁付けにすることを希望されていたO夫妻。しかし、お酒を飲みながら料理をするというライフスタイルからデザイナーはキッチンをお部屋の真ん中に配置する事を提案しました。ご主人がお料理をしている間、奥様はシンクの反対側にスツールを置いてお酒を楽しむ。そんな楽しみ方ができるキッチンがとてもお気に入りなんだとか。キッチンの後ろにはホワイトのUSM Hallerのunitが食器棚の代わりに置かれています。ふと回りを見渡すとHaller以外にも随所に置かれているのはスワンチェアやARCOランプなど有名デザイナーのモダン家具。実はこれらの家具を入れる為に、天井の高さを調整したほど、O夫妻は大のインテリア好き。10代の頃から少しずつこだわりの家具を集められてきたそうです。クラシックな雰囲気を漂わせるブリックタイルを張り込んだ壁をバックに、モダンな家具がいっそう美しく際立って見えました。
2人だけのbar time
リノベーションをした後、ライフスタイルが変わったというO夫妻。以前は、週末も外に出かける事が多かったそうですが、いまでは完全に家に居る事のほうが多くなったんだとか。「なんだか家にいるのが心地よくって。最近はもっぱら家に引きこもって映画鑑賞していることが多いです。」と奥様。「先日友達が家に料理をしに来てくれました。みんなで、スワンチェアに腰掛けながら飲んだり食べたり。このお部屋、みんなにも好評だったんですよ!」と笑顔で話してくれるご主人。そんなO夫妻に最後に投げかけたのは「今一番幸せな瞬間は?」というクエスチョン。「お昼に無垢の床に寝転んでごろごろするのはほんとに気持ちいいですね。でも、この家が一番良い表情を見せるのは実は夜なんですよ。夜景を見ながら、キッチンでお酒を飲んでいる時はまるでBARにいるみたいだよね?」そう言いながら顔を見合わせるO夫妻はなんだかとても嬉しそう。モダンな空間にアクセントをつけるのは、ブリックタイルを張り込んだ壁などクラシックな要素…響き合うモダンとクラシックの余韻が心地よい、そんなお部屋が完成しました。