エントランスに構えた黒枠の先に広がる、無骨さと爽やかさが混在したインダストリアル空間。 『段差』をキーワードに、ステップアップ・ダウンフロアを要所に構築させた2LDKプランです。
理想を最大限に発揮するために
東京都町田市。玉川学園前駅から少し歩き、坂を越えた見晴らしの良い場所にN夫妻のお宅はあります。 2016年6月に結婚式を挙げられたお2人。マイホーム購入を検討しはじめたのは結婚式から約半年が経った頃で、「ちょうど更新のタイミングが迫ってたんです。将来家族が増える事を想定すると当時の家は手狭だったし、結婚式が終わって生活も落ち着いてきた頃だったので」と奥様。N夫妻には家づくりで叶えたい要望 が多々あったため、家を買うならゼロから創り上げることのできるリノベーション!と最初から決めていたのだと言います。それから『好みの施工事例が多い会社』を軸にリノベ会社をリサーチし、nuリノベーション(以下nu)を含む2社の個別セミナーに参加。「nuさんは施工事例が豊富で、自分たちの要望にも応えてくれそうだなと思って。それに仲介アドバイザーの方がとても親身に話を聞いてくれたり、スタッフさんとのフィーリングも合う!と感じてnuさんに決めました」とにっこり笑うご主人。 職場に1時間以内で通える距離であればエリアに固執せず、その代わり70平米以上の広さと日当り良好である事を必須条件に物件探しを開始。そして20件ほど内見した後、今のマンションに出会います。「70平米あるので、広さも満足してます。角部屋で2面採光を確保できるので、昼間は照明が必要ないくらい明るいんですよ。高台に位置しているので、周囲を気にせず窓を全開にできるのも嬉しいですね」とN夫妻。物件だけでなく、落ち着きと賑わいのバランスが取れた駅周辺の雰囲気も気に入っていると教えてくれました。
段差が生み出す特別感
「ふつうの家にはしたくなかった」ご主人が開口一番に話してくれたのは、家づくりへのこだわり。空間全体のテイストは好みの雰囲気を検索していくうちに行き着いたと言う“インダストリアル系”をイメージし、大空間のLDKをリクエスト。そしてN邸を語る上で外せない『段差』はご主人たってのご要望で、「僕は今までマンションにしか住んだことがなかったので、ずっとフラットな空間で暮らしてきたんです。だからこそ段差自体に興味や憧れがあって。床のレベルを操ることで、フラットでは演出できないワクワクするような特別感が生まれると思ったんです」とご主人。設計デザイナーはそんなN夫妻に『level flow』というコンセプの元、限られた空間を平面・立体的に楽しめる、“マンション=フラットな空間”という概念に変化をもたらせるようなプランを提案しました。こうして完成した2LDK+WICのプランは、玄関扉を開けると壁一面のガラス戸がお出迎え。「遊びに来てくれる人たちに、『この家、ふつうとはちがう!』って第一印象から驚いてほしくて(笑)。扉には相当こだわりました。それに黒が空間にあると、よりインダストリアルな雰囲気が惹き立ちますからね」とご主人。実際に家を訪れた友人から、インテリアショップみたい!と褒められたのが嬉しかったとはにかむお2人。玄関の両隣には寝室と予備室をシンメトリーに配置し、段差を昇降して辿り着く特別な空間として設えています。
コンクリート現しの天井やあえて剝き出しにされたダクトなど、無機質でインダストリアルな雰囲気に包まれた約19畳のLDK。無骨さを掻き立てるステンレスキッチンはカウンター付きのもので、「最初からカウンター付きを希望していたわけではないんですが、ショールームで見たら一目惚れしちゃって(笑)仕事の日は個々で夕食を食べる事が多いので、1人の時はパパッと食事ができるカウンター席が便利なんです。あと、リノベしてからは料理をする時間がもっと好きになりました!以前の家は壁付キッチンだったので、今のオープンで見晴らしの良いキッチンが嬉しくて」とにっこり笑う奥様。キッチンは回遊性のあるアイランド型に配置して、効率の良い家事動線も確保しています。そしてリビングは、ダイニングの床から約10cm掘り下げたステップダウンフロアとして構築しました。「段差を何段にするか、何センチ下げるかなど色々悩みましたが、全体のバランスを考えて設計デザイナーの方と相談して決めました。段差に腰掛けて休んだり、掘り下がっている分少し篭り感もあるので、寛ぐのにもってこいの場所ですね」。
光と風が行き交う大空間のLDK。中心性のあるステップダウンフロアには人が集い、友人たちが遊びに来るとそれぞれ好きな場所に腰を下ろしてくれるのが嬉しいと話すお2人。段差が生み出す効果やワクワクする気持ち…思い思いの特別な空気感に包まれていきます。
飾り付けて、オリジナリティを育てて行く
「毎晩、2人で携帯と睨めっこしながら『このデザイン良くない?』って、スクリーンショットを沢山撮り溜めてました(笑)そういう時間も含めて、リノベーションって楽しかったなって思います」と当時を振り返るN夫妻。 アパレルショップのような白いTシャツと靴のディスプレイはご主人からの提案だそうで、下駄箱に収まらない背の高い靴の収納方法を考えていた時に、ネットで見つけた画像を参考にディスプレイしたのだとか。N 邸のインテリアには表情豊かなグリーンも必要不可欠で、「これからもグリーンを増やしていきたいですね。前の家は日当たりが悪かったので、リノベしたら植物をもっと育てたいなと思っていて。ここは日当たりも風通しも良いし、植物たちにとっても居心地の良い家だと思います」と微笑むお2人。
躯体現しの壁や天井など荒削りな美しさが残る無骨な空間を、爽やかなグリーンが彩るN邸。そこにはN夫妻テイストの、個性あるインダストリアル空間が広がっていました。