Left>Right:左利きの、左利きによる、左利きの夫婦のために創られた2LDK+WIC。
心をワクワクさせる『泊まれる本屋』のようなディスプレイが、空間に個性を生み出しています。
優先順位は愛犬とオリジナリティ
神奈川県横浜市。落ち着いた雰囲気の駅前から少し歩くと、会社員のご主人と奥様、愛犬のこむぎちゃんが暮らすY邸が見えてきます。当時住んでいたマンションの更新が迫っていたことから、次も賃貸へ引っ越すか、マイホームを購入するか検討していたお2人。元々リノベーションに興味があり、リノベーション専門雑誌『relife+』や『中古を買ってリノベーション』に掲載されたオリジナリティの高いお宅を見ていくうちに、リノベの良さを再確認したと言います。また、雑誌を見て好みだと感じる事例はnuリノベーション(以下nu)が手掛けたものが多く、一度詳しく話を聞いてみたい!と感じてnuの個別セミナーへ参加。「デザインの豊富さだけでなく物件探しからワンストップでお願いできる点などにも安心感があって、やっぱりnuさんにお願いしたいなって。それで中古マンションを買ってリノベすることに決めました。賃貸ではリノベのような自由度の高い家は手に入れられないですからね」とY夫妻。
通勤に便利な都心部で駅近、そして70平米以上の広さ。それからこむぎと一緒に暮らせる家を求めて物件探しを開始します。しかし予算内で希望条件に見合う物件に中々出会えず、神奈川県にエリアをシフト。トータルで約20件内見した後、今の鶴見のお住まいを購入します。「当初の希望エリアからは離れてしまいましたが、都心へのアクセスが良いので通勤に不便は感じていません。約72平米という広さもそうですが、ここは角部屋で真下が駐車場なんです。犬を飼っていることもあって、下階に対して音を気にせずに済む点も決め手になりました」とY夫妻。
『夜更かしOKの、泊まれる本屋』
Y夫妻には「生活動線を考慮した間取りが良い」、「空間に取り入れたい色は茶、白、黒、グレー」などリノベーションで創り上げたい空間に明確なイメージがありました。その中でも「『泊まれる本屋』の雰囲気を取り入れたい」という要望は、夫妻共通の趣味である漫画を魅せながら収納するためのアイデアとして思いついたのだと言います。それから夫婦共に左利きのお2人は、左利きを考慮した工夫を取り入れてほしいとリクエスト。そんなY夫妻に設計デザイナーは『L>R』というコンセプトの元、Left>Right:左利きのお2人の生活がより快適になるよう、扉やコンセントの位置などに配慮した空間を提案しました。
こうして完成した2LDK+WICのプランは、玄関扉を開けるとフリースペースに配置された本棚や黒枠のフィルター越しに見えるLDKの本棚など、たくさんの本が目に映ります。フリースペースにはベッドを配置して“泊まれる本屋”の雰囲気を演出。「篭り感があったらいいなぁと思って、ベッドが少し隠れるくらいの高さで本棚を選びました。この前妹が泊まりに来た時にここで寝てもらったんですけど、早速“泊まれる本屋”が実現しちゃいました」とにっこり笑う奥様。ベッドの左隣の扉を開けると、洗面スペース→お風呂→WICがひと続きにプランニングされていて、「朝起きて顔を洗って、着替えて、という動きをスムーズにしたくて設計デザイナーの方に相談しました。WICや洗面スペースにはLDKからもアクセスできるんですが、その回遊性がとても便利です!」と嬉しそうなご主人。
存在感のある『ACME Furniture』の照明が、独特の輝きを放つLDK。無垢オークフローリングの茶色、コンクリートのグレーなどY夫妻の好きな色で構成された空間に、アクセントで黒を効かせたメリハリのあるリビングが広がっています。壁一面の本棚には、お2人の大好きな漫画や雑誌などがオシャレな本屋さんのようにディスプレイされていて、悠に100冊以上の本を収納することができます。リビング全体を見渡せる特等席に配置したアイランド型のキッチンは、奥様お気に入りの場所。TVを見ながらの調理や遊びに来てくれた友人との会話も存分に楽しめるようで、「オープンなキッチンにして大正解です。それに使い勝手も良いですよ。料理好きの友達も、広い作業スペースが羨ましい!って(笑)」とにっこり。キッチンの腰壁は既製のシステムキッチンを木パネルで覆いました。そのパネルの一部を黒に塗装したのですが、それにはこんな理由が…。「実は、木の部分で『L』を表現してるの分かりますか?家の中に『L>R』をデザイン的に落とし込みたくて。この家のためだけに考えてくれたコンセプトですからね!実際ベッドに寝転んだ時に左手で携帯が操作しやすい位置にコンセントをつけてもらったり、“左利き”の私たちにとって生活しやすいストレスフリーな家です」。
思わず手に取って読みたくなるような、心を躍らせる本のディスプレイ。インダストリアルな雰囲気を醸し出すちょっぴり無骨な空間に、お2人の遊び心が感じられます。
未完成だからこそ、楽しい
ご夫婦揃ってお酒が好きなY夫妻。リノベーション後はお店で飲むことよりも家で嗜むことが多くなったそうで、「自分の家が一番居心地の良い場所になったからだと思います。家に帰ってくると、すごく落ち着くんですよね」とにっこり。そしてインタビュー中、ふと目に入った玄関の靴棚。当初の図面には載っていなかったので聞いてみると、「実は玄関の靴棚、僕がDIYで作ったんです。引越しでバタバタしていて中々手をつけられてなかったんですが、この前の休日に遂に完成させました!こうやって暮らしながら自分たちで手を加えていくのって楽しいですよね。家具や雑貨ももっと揃えていきたいなと思ってるんです。良い意味で未完成だからこそ、暮らしながら完成させていくのが楽しみなんです」と教えてくれました。
左利きの夫妻のために創り上げた『L>R』。コンセプト通りお2人の生活にぴったりと寄り添いながら、一層オリジナリティのある空間へと変化し続けていくことでしょう。