「実家を出る。」そう決意したKさんが選択したのは中古のマンションをリノベーションするという方法。好きなものを探りながらデザイナーと一緒につくりあげたこの空間では異素材が心地よく共鳴し合っています。独特な世界感が漂うシンプルでジャンキーなお部屋が完成しました。
一緒につくりあげるモノ
東京都北区赤羽。賑わう駅前の商店街を抜け3分程歩くとKさんのお宅が見えてきます。Kさんのお仕事はデザイン関係のマネージャー。以前は実家で暮らしていたというKさんですが、1年程前にそろそろ実家を出て一人暮らしをしたいと考え始めました。初めは会社のある都心でマンションを購入する、もしくはご両親が所有していて賃貸に出している赤羽のマンションに住むという2つでとても悩んだというKさん。しかし最終的にKさんが選んだのは、住み慣れた赤羽にある賃貸に出していた物件でした。幼い頃から多くの時間を過ごしてきたこの赤羽という場所にはたくさんの思い出があり、またこれまで一緒に過ごして来た友人達と離れたくないという想いがあったと言います。赤羽のマンション自体は築15年とそのままでも住まうことは可能でしたが、以前から建築事務所で働く友人の影響でリノベーションになんとなく興味をもっていたKさん。お仕事もデザイン関係ということもあり「せっかくなら!」とリノベーションをすることを決めました。まずはその友人の勧めでリノベーションのイメージを掴むために、様々なリノベ会社の相談会に参加することに。そして一番最初に参加したのがnuリノベーションの「個別無料相談会」でした。リノベーションの話をじっくり聞くのが初めてだったというKさんは、アドバイザーの話にとても興味を持ったと言います。そして後日ヒアリングを元に完成したデザイナーのプランを見たKさん。「私の“こうしたい!”を取り入れるだけでなく、デザイナーさんから『こういうのもどうですか?』っていう風に素材やアイディアをどんどん出してきてくれたんです。初めて見るモノや予想外のモノもありましたが、どれも好きなものばかりで逆に迷ってしまいました。笑 デザイナーさんと好きなものが似ているのかもしれないですね!でもその作業がすっごく楽しくて、ここなら良い家をつくれるなって思いました。」とKさん。他の建築事務所にも相談に行ったKさんでしたが、nuの方がデザイナーとの相性も良く、フランクな印象で話がしやすかったため、nuでリノベーションをすることに決めました。
混じり合い、心地よく
「正直、家づくりを少しなめていました。最初は床と壁だけ変えればいいし、夏に始めたら年内には余裕で完成するでしょ!っていう甘い考えだったんです。」と話すKさん。そんなKさんは最初のデザインミーティングには何も持たず「リノベーションしたい!」という気持ちだけで挑んだと言います。しかし打ち合わせでデザイナーから「床は無垢材だけでもこんなに種類があるんですよ」「タイルも形が色々選べるんですよ」など色々提案してもらううちに、どんどん自分のやりたいことが見えてきたというKさん。それからは世界的にも有名な写真共有サイト「Pinterest」で毎日好きな画像を探しながら通勤していたと言います。その画像を参考に、Kさんとデザイナーは何度も打ち合わせを重ねじっくりじっくりお部屋のデザインをカタチにしていきました。そしてその作業を繰り返して行く中でデザイナーが気づいたことはKさんが「異素材の組み合わせが好き」「ガーリーすぎず、かといってメンズライクでもない空間。シンプルな空間に無骨な素材をポイントでプラスしたKさんならではの独特の世界感を持っている」というこの2つでした。そして、それををふまえデザイナーが提案したのは、「SIMPLE×ジャンク」というコンセプト。Kさんの好きな素材をバランス良く組み合わせながらも、シンプルでスッキリとまとめたお部屋をイメージしました。そして完成したのはKさんこだわりの素材が部屋中に散りばめられた2LDK+WIC。廊下を抜けリビングに入るとまず目につくのは、独特の色味を持つ幅広の無垢ボルドーパインの床。インテリアとは違い一度施工すると、長く付き合うことになる床はじっくりと時間をかけて選びました。中央には友達と集まるのが好きだというKさんのために6人掛けのテーブルを設置。その上部に取付けた照明にもKさんならではのこだわりが。「いくつかのペンダントライトを長さに変化をつけて吊るしたい!」以前からPinterestを見て憧れていたというKさんに、デザイナーが提案したのは、一般的には電気を通すため天井付けにするダクトレールを天井から30cm離して吊るすという方法。ダクトレールにペンダントライトのコードを巻き付けてディスプレイすることで、長さを調節できるつくりに。Kさんが何件ものインテリアショップを巡って見つけ出したというペンダントライトは、ディスプレイの仕方に変化をつけることで、空間に心地よいリズムが生まれます。またリビング壁は一部分だけ躯体現しにしてお部屋のアクセントに。Kさんお気に入りの絵が飾られています。その壁に造作した棚はKさんが一番悩んだポイント。「ここは、色と素材をすごく悩みました。どこをモルタルにして、どこを木にして、どこを白で塗装するのか。デザイナーさんと一緒に悩みに悩んで、決めたので今はとても満足しています。このモルタルと木が交わっているのがまた良いんですよね〜。これを眺めながら1人でお酒が飲めちゃうぐらいです。笑」とKさん。白く塗装した棚の扉と色味を合わせたキッチンは腰壁を木で造作。一部の壁には磁器質タイルでアクセントを付けました。「以前は料理をしなかったのに、今では毎日料理をするようになったんです。引っ越して来て一度もコンビニ食を買ったことがないんですよ!お弁当まで作ったりして、私自身が一番びっくりです。」とKさん。キッチンは白でまとめたため、こまめな掃除が欠かせませんが、そんな掃除さえも実はKさん自身が好きだということを、このキッチンにしてから気付いたと言います。床は様々な素材感を楽しみたいという想いからキッチンから廊下は耐水性があり、お掃除がしやすいグレーの塩ビタイルにすることに。また廊下の先に続く寝室は玄関との間にブラックの内窓を設け、抜け感をプラスしました。木のあたたかな感じと、ゆらめく照明がなんだかとても落ち着ける雰囲気です。まだこの部屋の使い方を考え中だというKさんは、「これからここにお気に入りの絵を飾ったりするのも良いかな」と話します。無垢ボルドーパイン、モルタルの壁、アクセントタイル…様々な素材が混じり合い心地よく共鳴するお部屋が完成しました。
つどい、語る、しあわせ
ここに暮らし始めて大きくライフスタイルが変化したというKさん。「お弁当を作るようになったり、両親に手料理をふるまったり、朝早く起きて掃除をしたり。一人暮らしになった分、やることは多くなったはずなのに、心も体にもゆとりがでてきた気がします。」とKさん。そんなKさんの楽しみは月に1、2回友達を大勢呼んで食事をすること。ざっと計算してもすでに100人ほどが訪れたというKさんの家には仕事関係だけでなく、学生の頃からの知り合いや、知人の知人など様々な友人が集まってきます。「母が大人数で食事会をしたり、おもてなししたりするのがとても好きな人なんです。私も無意識にそんな暮らしに憧れていたのかもしれませんね。」と話すKさんは、この家でみんなが楽しそうに食べたり、飲んだり、おしゃべりしているのを見る事が何よりも幸せだと言います。1人でいる時はお酒を注ぎ「この色好きだな、ここの肌触りも最高だな〜。」と部屋をつまみに寛いでいるのだとか。一人でも大勢でも楽しめるKさんのお宅。木、モルタル、お気に入りの絵画、そして好きな人達…共鳴し合うたくさんの“好き”。様々な“好き”が交じり合い、心地よいハーモニーを生み出すこのお部屋では、これからもずっと幸せな暮らしが続くことでしょう。