白い壁と、そこかしこから感じるヴィンテージな風合いのコントラストが美しいお部屋。
夫妻の会話が心地よく響くやさしい空間に訪れました。
“2人仕様”の空間へ
穏やかでゆったりとしたご主人と、テキパキとして笑顔が素敵な奥様。ご夫妻が結婚されたのは1年ほど前、ちょうど今のお家が完成してすぐのことでした。リノベをしたマンションはもともとご主人のご実家。両親から譲り受けたこのマンションをお2人仕様に仕上げるため、結婚準備と並行してリノベーションを始めました。アパレル関係で働くおしゃれなお2人。インテリアにも興味があり、どうせやるならとことん自分たち好みの空間を作りたい!と様々なリノベーション会社を検討したと言います。各社に足を運び、ついにnuリノベーション(以下、nu)の相談会へ。「担当してくださったみなさんとても印象が良くて、直感で自分たちと雰囲気が合いそうって思いました。ここなら任せてもいいなって。」そう語る奥様。さらにご主人が「あと、打合せの度に用意されるお菓子のセレクトがよかったのはかなりポイント高かったです。」と続きます。その言葉に、担当したリノベアドバイザーも「そこを褒めていただいたのは初めてです!」とつい笑顔に。取材中スタッフ全員が癒されてしまうような、穏やかで心地いい空気を醸し出すお2人。夫妻の優しい関係性が、部屋の空気感にも反映されているようでした。
断念のち、こだわり
叶えたいイメージを度々話し合っていたと言うお2人。デザイン打合せにイメージ画像をたくさん持ち込んでくださいました。ご主人の理想はラフでヴィンテージ感のあるテイスト。全面コンクリートの空間を希望されていました。建物の構造体をむき出しにする躯体現しは、既存の壁紙を剥がすまでどんな仕上がりになるか見当がつけられません。ドキドキしながら解体工事後の部屋に訪れたお二人。残念ながらコンクリートはあまり良い状態とはいえず、躯体現しは断念することになってしまいました。荒っぽい雰囲気を夢見ていたご主人は現場でかなり落ち込んでしまったんだそう。「デザイナーさんと私で必死に励ましたんです。しょうがないしょうがない!って(笑)」と奥様。実は奥様、ご主人とは少し違って海外のアパルトマンのような古さと綺麗さがマッチした雰囲気を理想としていました。落ち込むご主人の横で、物件の状態が後押しして白い壁が叶えられることが実は嬉しかったとこっそり教えてくださいました。お2人共通のテーマは「ヴィンテージ感」。味のある風合いをどんな要素で、どんな風に表現するかがリノベの鍵となりました。そこで取り入れることにしたのがモルタルのキッチン。ずっしりと大きなモルタルの直方体はシンプルな白い空間にハードでかっこいいインパクトを残します。躯体現しへの悔しい想いを胸に、モルタルの質感へこだわりを発揮したご主人。当時ちょうど開催されていたnuの完成物件見学会で本物のモルタルの仕上がりを確認し、理想の質感をデザイナーに伝えました。nuの過去の事例からアイデアを得たという腰壁のニッチには可愛らしい動物の置物が。この動物たち、奥様のご実家である滋賀県の名産品・信楽焼の置物なのです。キッチン以外にも信楽焼がところどころに潜むY邸。玄関では、お蕎麦屋さんによくいる大きなたぬきの親戚のような、愛らしい表情とホッとする素材感の置物が玄関でお客さんを出迎えていました。
理想が形になるよろこび
モルタルキッチンの後ろの壁は白いタイルで仕上げました。奥様はタイルを取り入れることを最初から決めていたそうですが、バリエーションが豊富な色や質感に頭を悩ませていたと言います。最終的に決めるきっかけになったのは、nuのコンセプトルーム。キッチンの壁が今のY邸と同じ白タイルで仕上げられていて、見学に訪れた時に、これだ!と感じたんだそう。実際に採用することとなり、引き渡し後には思い描いていた理想が再現されていることに感動したんだそう。まさにパリのアパルトマンのような、フレンチシャビーな味のある印象に仕上がりました。ダイニングスペースの照明にはある工夫が潜んでいます。ペンダントライトが吊り下げられた照明用のレールが十字形になっているのです。ダイニングテーブルの向きを変えた時、照明を自由にレイアウトできるようにとそのアイデアが採用されました。将来まで視野に入れた設計には、インテリア好きなお2人が暮らしながら住まいを作り込んでいけるワクワク感を感じました。
ヴィンテージの温もり
取材の少し前、このお宅には家族がもう1人増えました。それは現在2ヶ月になる娘さん。取材中はご主人に抱っこされ、終始心地よさそうにうとうとしていました。そんなご主人と娘さんの様子を見ながら、奥様は「抱っこが本当に上手なんですよ。」と微笑みます。リノベに結婚に出産。人生の大イベントが一気に訪れた2人に当時のことを伺うと、「とにかく楽しかったです!」と奥様。続けてご主人は「もう一回やりたいくらいです。やっぱり自分たちで全部決められるのは楽しかったです。」と話します。仲良しなお2人にとって、一つ一つ自分たちで家を作り込んでいく作業は何より幸せな時間だったことが分かります。リノベーションをやってよかったと感じる瞬間は?と質問すると、「料理をしてる時!」と答えた奥様。「料理をしながら目に入る景色が素敵だから、盛り付けも素敵にしよう!って意識しちゃうんです。」と優しい笑顔で話してくれました。家を新しくしてから、上質なコーヒーマシンを買ったというご主人。今はカメラの購入を検討していると話す横で、「形から入るタイプなんですよね。」と奥様が笑いながら教えてくださいました。空間をデザインする上で2人が大切にした『ヴィンテージ感』。それは誰かが大切に使い込んだかのような温もりそのもの。ヴィンテージの温もりとお2人らしさが調和した空間に、これからは家族3人の生活が刻まれていきます。