最寄駅からほど近く。緑のあるファサード、手入れの行き届いたエントランス。築12年の落ち着いた雰囲気のマンションをリノベーションしたHご夫妻にお話を伺います。
“時”の流れで表情をかえるハコ
真夏日でしたが、窓からの気持ち良い風を受けながらのインタビュー。ラジオの爽やかな音が心地よい空間をつくり出していました。今回お伺いしたお宅に住むH夫妻。建設関係のお仕事をされているご主人の趣味はアウトドア、奥様は家具やインテリアが大好き。そして、愛するコーギー犬の”宙(ソラ)”くんと仲良く暮らしています。元々、住まいに対するこだわりがとても強かったというH夫妻。「新しい生活を」と物件の購入を考えた際、既成の物件ではイメージに合致するものがなかったことから、自分たちの思い通りにできるリノベーションを選択しました。リノベ専門誌relife+を見て、nuの記事が目に留まりさっそく相談会へ参加。検討した数社の中から最終的にnuを選んだ理由は、料金設定が明確であったこと、nuのリノベーション事例が思い描くイメージと雰囲気が合うと感じたこと、そしてたくさんの事例を見ながら、自分達の暮らすイメージが想像出来たことだといいます。相談会に参加後、nuとの物件探しがスタート。物件をさがす上での条件は、眺望、風の抜け、ご主人の職場や奥様のご実家へのアクセスを考えて小平周辺のエリア。たくさんの物件を見て廻り、最終的に今の物件に決めたのは辺りに高層の建物がなく、最上階で眺望が良かった所。春には桜並木、夏には花火を一望でき季節の移り変わりを感じることが出来る楽しい家に生まれ変わりそう、と直感で感じた事だといいます。
家族の”時”をつくるマドリ
理想の条件で物件も決まり、いよいよ設計がスタート。デザイナーへの要望は、リビングが広くて、アウトドアの収納スペースがあること、家中に風が通り抜けるナチュラルで明るい家。そして家のどこかに「ほっと一息つける場所」が欲しいとの事でした。nu設計デザイナーの最初のプレゼンテーションを受けての印象は、機能的な提案から、ちょっと奇抜なものまで様々なバリエーションがあった事から当初自分たちが気づいていなかった、本当にやりたい事が見つかったといいます。お二人が選んだプランはキッチンをアイランド型に配した回遊性のあるマドリ。愛犬の宙(ソラ)くんが走り回れる様にと行き止まりの無い広いLDKにしました。LDKの床とキッチンの周りには無垢のオーク材を贅沢に張り込み、素材感のあるナチュラルな空間に仕上げました。木の質感溢れる空間の床半分を大胆にリザードブルーのカーペットに。シンプルにファブリックベンチが置かれただけのその場所は、家族が一番大切な時を過ごす「ほっと一息つける場所」。「仕事から帰って一番にごろん、としてしまいますね(笑)」とご主人。「愛犬の宙(ソラ)のために、カーペットのパイルが爪にひっかかることのないよう、色とあわせて素材も慎重に選びました。」まるでご主人の言葉がわかるかのように、宙くんは嬉しそうに見つめます。奥様のお気に入りは、お部屋全体を見渡せるようになったキッチンの位置。お気に入りのカーペットで寛ぐご主人と会話をしたり、愛犬がいたずらをしていたらすぐにわかると言います。司令塔のようだね、と笑い合うご夫妻はとても楽しそうでした。さらにお二人がこだわったところは、アールの壁が印象的な土間スペース。元々、窓の多い物件という事もあり、壁をアールにした事で広い土間スペースに柔らかい光と風が自然と流れ込んできます。土間の質感や色味も慎重に吟味。「nuのオフィスの土間を参考に何度も打ち合わせをしようやく決まりました」とご主人。黒い墨を練り込んだモルタルと柔らかい曲線美のコントラストがとても印象的な玄関となりました。
“時”の流れと共に増えて行くキオク
扉の一枚一枚にコーギーマークやトイレマークなどの可愛らしいサインたち。棚の上には愛犬をモデルにした粘土細工。白い壁には愛犬とともに河川敷を散歩するご夫婦の描かれた絵画。犬のしっぽのタオル掛け。あえてシンプルに設計したというH夫妻の家。そこにはご夫婦の愛犬への愛情が至る所に散りばめられていました。ソファーも空間に合わせ、木の素材で作ってみたい…、真っ白な壁の色を一面だけ変えてみたい…、バルコニーにフローリングと合わせてデッキを作る…、やりたいことは、まだまだいっぱです。ガーデニングで彩られたバルコニーの緑は、目の前に広がる木々の緑と繋がっていくように感じます。季節の変化によってその光景は違った表情を見せてくれるといいます。ふたり、そして宙(ソラ)くんと過ごしてきた時間で彩られているH夫妻のお宅。まだ始まったばかりの新しい家での生活は時の流れと共に増えてゆく家族のキオクによって彩られて行く事でしょう。