nuスタッフの小西が住まい手として、創り手として。
自宅リノベで気づいたことや、細部がもたらす心地よさを、全10話で綴っていきます。
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第二話では、私自身の自己紹介とリノベーションのきっかけについてお話ししました。
今回はどんな細部にこだわりながらプランを考えていったのかを綴ってみます。
・リノベの絶対条件が決まった理由
家事と子育ての両立を始めて約2年。
その間、当時住んでいた賃貸で感じていた小さなストレスが少しずつ積もっていきました。
・家事動線が長い(特に洗濯)
・死角が多い
・ちょっとした段差が多い

洗濯を干すたびに遠回りをし、子どもの様子を見に行ったり来たり。
対面キッチンではあるけれど開口が狭く、死角ばかりで安心して家事ができない。
そして段差にはすぐにゴミが溜まってしまう。
毎日のことだからこそ、ほんの少しの不便がじわじわと心身に効いてくるのです。
その経験から今回のリノベでは、「段差のない空間」と「死角をなくす壁付キッチン」。
この2つを絶対条件にすることに決めました。
・理想を叶えられそうな物件
物件探しで譲れなかったのは「暮らしに馴染んだ地元の土地であること」。
予算や広さなども含めて条件に合う物件を3件ほど内見し、最終的に決めたのが今の住まいでした。

惹かれたポイントは、
・正方形の間取り
・角部屋で2面バルコニーがあること
リノベ前提だったので、部屋数や内装よりも「変えられない条件」を大切にしました。
正方形の間取りは設計の自由度が高く、家事が回りやすいように回遊動線を取り入れたい私にとって理想的。
回遊動線には2本の通路が必要ですが、間口の広い正方形なら居住空間を圧迫せずに確保できます。
さらに、南北に長い長方形の間取りと比べると、南側の窓に面する空間が広いため、LDKや居室のレイアウトも自由自在。
販売図面をiPadに写しては、落書きのように何枚もプランを描く。
まだ現地調査もしていないのに、頭の中で暮らしを組み立てる時間はまさに至福でした。
・余白を大切にした、1LDK
現地調査前に考えた私のプランは、寸法の問題で実現できず没に。
行き詰まって、同期のデザイナー・渡邊さん(以下、普段通り「美晴さん」と呼ばせていただきます)にプランをお願いしました。

「あれもこれも」と欲張っていた私の図面とは違って、返ってきたのは78㎡を贅沢に使ったシンプルな1LDK。
私はハッとしました。

スキップフロアやヌックのように、個性的な空間に憧れがありました。
小さな居場所が点在する、秘密基地のようにワクワクする空間。
雑誌やSNSで見るたびに「素敵だな」「うちもこうだったら」と思ったこともあります。
でも、今の暮らしに本当に必要かと考えたとき、答えは「いいえ」。
ワクワクする空間を管理しきれずにはそのワクワクも保てない。
今は仕事に子育てに、日々を軽やかに過ごすことが一番大切。
子どもが小さいうちはみんなで一緒に寝たいので、ダブルベッドを2台置ける大きな1部屋があれば十分。
必要になったら将来仕切ればいい。
むしろ余計な部屋をつくらず、ひとつの空間に余白を残しておく方が、暮らしに合わせて自由に形を変えられる。
シンプルだからこそ、家具や照明、好きな素材で表情を変えていける楽しみもあります。
盛り込みすぎないことで、あとから加える余地が残る。
「デザインとしての余白」と「暮らしの余白」。
その余白こそが、今回の家づくりの軸。
余白があるから細部のこだわりやデザインが際立ちます。
この軸が見えてきたのも、自分ひとりで描いた案ではなく、美晴さんに託したプランがあったから。美晴さんには心の底から感謝です。
潔い引き算の線に出会って、ようやく「私たちの暮らしに本当に必要な形」が見えてきたのです。
・無垢のはじまり
完成したのは、正方形の特徴を活かした1LDK。

段差も死角もない、壁付キッチン。
回遊動線も取り入れつつ、南はLD、東は寝室のみにすることで、シンプルで広がりを感じる空間に。

欲張りに描いた線を削ぎ落とすことで、逆に細部にこだわる余白が生まれました。
無垢材のように、変化を受け入れ楽しむ暮らしがはじまる。
それが、この家に込めた「無垢のはじまり」というコンセプトです。
余白があるからこそ、悩ましいのが「収納」のこと。
しまうか、見せるか。その選び方ひとつで暮らしの心地よさはまるで変わってくる。
次回はその「収納」についてお話ししていこうと思っています。