[2020.5.29]
こんにちは。
「ダビデ像」や「最後の審判」で有名な芸術家ミケランジェロの、建築って気になりませんか。
ミケランジェロの建築、かなり知的で面白いです。
実はミケランジェロ、今から約460年前にローマでリノベーションを手がけています。
サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会
教会の外観、美しく統制されたローマの街並みには、ちょっと似合わない感じがしますね。
因みにサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会の反対側は、こうなっています。
柱のリズムを持った建築が左右対称に湾曲して聳え、中央の噴水と銅像を取り囲むんだ美しいバロック形式となっています。
この教会の外観の正体は、廃墟です。
元々は大浴場として使われていた廃墟をリノベーションした建築です。
ミケランジェロは、廃墟の外観をそのまま教会の外観としています。ただ、ミケランジェロが凄いのは、教会の正面を湾曲させることで、中央の噴水、反対面の湾曲した建築群と呼応し、
物理的な形としては街に馴染ませ、廃墟としての外装を街のアクセントとして生かしているところだと思います。
それでは教会の内部に入ってみましょう。
入った瞬間、外部から漏れる微かな光と、蝋燭の炎に照らされる祭壇、奥行き感のない空間の異様さに衝撃を受けたのを覚えています。
内部空間こそリノベーションの醍醐味です。
キリスト教の教会のプラン(平面図)にはルールがあり、縦が横に比べて長いラテン十字型と、縦と横が等しい正十字型と決まっております。ラテン十字型は入り口から祭壇までの距離が長くなるので奥行きのある空間となり、正十字型は中心性の高い空間となります。
しかし、リノベーションであるサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会の場合、建物の外形が予め決まっているため、自由に平面をデザインすることができません。
そこでミケランジェロの策は、正十字型のプランを採用しつつ、横を最大限に拡張することで横が縦に比べて長い変形十字型としています。この際、入口の方位や、中心のドーム等、いく
つかある教会のプランのルールはしっかりと守っていることが重要です。教会のルールを守りつつ、少し変わった平面のプランがサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会を、他の教会と
は違う、奥行き感のないユニークな空間としているのだと、訪れてみてすごく感じました。
最後に、中央のドームに開けられた幻想的なトップライトです。
ミケランジェロの建築はいかがでしたか。
(タイトルの写真はミケランジェロの建築ではありませんが、ローマで撮った写真で、建築によって生まれた光の陰影が美しかったのでのせてみました。)
シンイチ