nuスタッフの小西が住まい手として、創り手として。
自宅リノベで気づいたことや、細部がもたらす心地よさを、全10話で綴っていきます。
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第一話では、考え方の断片を少し先走ってお話ししてしまいましたが、今回は少し立ち止まり、私自身の自己紹介とリノベーションのきっかけについてお話ししたいと思います。
・絵を描くことからはじまった「空間」への興味
私が小さな頃から好きだったのは、絵を描くこと。
そして、チラシに載っている間取り図を見ては「ここが子ども部屋で、ベッドと机を置いて…」と想像を膨らませることが楽しみの一つでした。
紙に引かれた線の中に、自分だけの世界を描けることがたまらなく面白かったのです。
「暮らしを描く」という行為は、この頃から私の中で自然な遊びになっていたのかもしれません。

高校生になり、理系科目が大の苦手だった私は、逃げるように文系の学科がある大学へ進学しようとしていました。
でも、ここでちょっとした違和感を感じます。
将来について考える中で、「本当に学びたいことを学べるのか?」と。
そこで、小さい頃から好きだった絵と間取り図を思い出し、「住宅の設計を自分でもしてみたい」という気持ちが芽生えました。
暮らしを描いていく仕事をしたい。
そう思い、一大決心をしたのです。
工学部建築学科に進学し、在学中は空き家を改修する学生団体に所属しました。
限られた条件の中で空間をつくることに挑戦し、つくり方を仲間と話し合う日々は、まさに「細部に質を見出す」ことの繰り返し。
与えられた制約の中で工夫する楽しさに強く惹かれ、リノベーションという領域に関心を持ちました。

卒業後、nuで設計として働き始めます。
図面を引く日々の中で、素材や家具、納まりといった細部の要素にも自然と興味を持つようになり、インテリアコーディネーターの資格を取得しました。
結婚・出産を経て、現在は第二子を妊娠中。
いわゆる「ワーママ」として忙しくも充実した日々を過ごしていますが、その忙しさの中でも“細部に目を向けることで暮らしの質が変わる”という気づきは、むしろ鮮明になってきたと感じます。
・暮らしの細部に気づいた、産休・育休の日々
学生時代は実家暮らしで、恥ずかしながら家事をほとんどしたことがなく、正直「暮らし」に対する実感が薄かった社会人になりたての頃。
けれど、nuでお客様一人ひとりの「暮らし」に向き合い、寄り添う経験を重ねるうちに、
家の中で過ごす時間に対する価値観や興味の持ち方が自然と変化していきました。

実家を出てからは、自分の好きなインテリアを集めて部屋を整えたり、お気に入りのパン屋さんで美味しいマロンパイを買い、帰り道に花屋でガーベラを1輪選んで花瓶に飾ったり。
そんな何気ない日々を重ねるうちに、自分なりの「いい時間」を見つけられるようになり、
暮らしの質が格段に豊かになったのだと感じています。
そして第一子妊娠での産休・育休をきっかけに、必然的に家事全般を担うように。
暮らしの重心が家の中に移ったことで、今まで見えていなかった“細部”が気になるようになったのです。
・顕になった理想の家のかたち
小さな棚をDIYでつくってみると、それだけで日常が少し快適になる。
「自分好みの空間に近づけたい」と思い、インテリアを整えてみると、気持ちが晴れやかになります。
でも、賃貸という制約の中では、できることに限界があります。
DIYで加工できる材料を選ぶと、他の収納と比べて色味や質感が違うし、加工方法にも制限がある。
賃貸のフローリングの色味に合わせてインテリアを選ぶと、持ち家になった時にチグハグしてしまう可能性もある。
さらに、前の家は水回りに大小の段差が多く、息子がハイハイやつかまり立ちをして移動するたびにハラハラドキドキ。
キッチンは対面でしたが開口が小さく、息子の様子がよく見えません。
その緊張感は、日々の小さなストレスになっていました。
こうした不満や迷いを一つひとつ経験したことで、逆に「理想の家のかたち」が少しずつ見えてきたのだと思います。
それは豪華なものではなく、細部がきちんと整えられていて、安心して暮らせる家。
そのとき初めて、「リノベーションをするなら、今だ」と心から決意できたのです。
次回は、いよいよ決定したプランについて。
間取りという線の集合体をどう描き変え、「細部に宿る質」をどう形に落とし込んだのかをお話ししていきたいと思います。