ポップなアイテムが溢れ街には陽気な音楽が流れていた、アメリカンヴィンテージの黄金期と言われている1950年代。そんなカルチャーを愛するお二人が選び抜いたアイテムが並ぶヴィンテージ空間から新しい生活が始まります。
憧れのルーフバルコニー
東京都江東区。ファミリーが多いのどかな街にHさんのお宅はあります。Hさんは会社員のご主人と奥様、そして3歳になる息子さんの3人家族。Hさんがリノベーションに興味をもったのは15年も前のこと。昔から何かを創ったり飾りつけたりするのが好きだったお二人は、雑誌で“リノベーション”という言葉を知ります。“いつか自分たちも家を買ってリノベーションしたい”と思っていましたが、なかなかきっかけが見つけられずにいたH夫妻。しかし3年前お子様が生まれ、部屋が手狭になってきたことをきっかけに”今しかない”と家を購入することを決めました。お二人はさっそくリノベ会社探しをスタート。ある日奥様が恵比寿を散歩していると偶然「nu café」という看板を見つけます。気軽な気持ちで中へ入り、コーヒーを飲みながらフローリングやタイルなどの素材を見たり、気になる物件を探してもらう内にリノベーションへの気持ちが一気に高まったという奥様。“リノベーション会社を探している時に、たまたまnuに出会えたのも何かの巡り合わせかもしれない”と運命的なものを感じ、物件探しからnuにお願いする事にしました。そんなH夫妻が物件探しの条件として、nuアドバイザーに伝えことは2つ。1つ目は広々とした空間で3人一緒に暮らせるよう70㎡以上の広さがあること、そして2つ目はルーフバルコニーがあるということでした。特にルーフバルコニーは将来BBQをしたり、子供と一緒にプールに入りたい!というお二人の強い希望からどうしても外せない条件でした。nuアドバイザーからいくつか物件を提案してもらい、その中でも気になった3件を後日内見しに行くことに。最初に訪れた2件のルーフバルコニー付きの物件は想像よりも日当たりが悪かったため断念。一方で最後に見た物件は角部屋で視界が開け日当たりも抜群。またお部屋の一部をDIYしてみたいと考えていたH夫妻。偶然にも前住んでいた方が壁や床をDIYで塗装していました。そんなお部屋を見たお二人は自分たちもここでDIYがしたいなと思ったと言います。また条件に挙げていた70㎡以上の広さがあること、ルーフバルコニー付きだということから最終的に現在お住まいの86.12㎡、築29年の物件を購入しました。
あの日見たワンシーン
レトロなアイテムやアメリカのカルチャーが好きなH夫妻。若いころから海外の洋画や洋書を楽しみ、DVDやCDもたくさんお持ちでした。最初のデザインミーティングでは「昔のアメリカ映画に出てくるようなお部屋が好きで、そんな空間で暮らしてみたいですね。濃いめの色を使った味のある空間にポップなアイテムでアクセントをつけていくようなイメージです。」とデザイナーに想いを伝えたお二人。さらに前から好きだったグリーンを部屋の至るところに飾りたいというのもお二人の要望でした。その想いをカタチにするためデザイナーが提案したのは「50’s」というコンセプト。若者がこぞってアメ車に乗り、街中にエルビス・プレスリーの音楽が鳴り響いていたヴィンテージの黄金期1950年代。そんな時代のアメリカの部屋をイメージしました。そして完成したのは床にヴィンテージ加工を施した無垢オークが広がる2LDK+WIC+P。コンクリート現しの壁にはお二人が集めたレトロな海外のポスターが飾られています。木で造作したキッチンバックカウンターの壁にはポップなステッカーが貼られ、棚にはアメコミ好きなお二人が集めたコレクションが1つ1つ丁寧に並べられていました。ざっくりとした印象の壁や棚に飾られれたアイテムはなんだか輝いて見えます。空間の中でも特に存在感のある造作本棚は、ご主人がどうしても取り入れたかったポイント。本をたくさん収納出来るよう横幅を2m取り、棚板はリビングの床と合わせダークな色を選びました。「本が好きでジャンルを問わず集めてます。読むのも好きですが、洋書などはインテリアのように飾るのも好きですね。本を見せたいという想いもあったので、あえて本棚は一番目につくリビングに創ってもらいました。」とご主人。本の他にも古いレコードやポストカードなどを飾り付け、趣味を詰め込んだこの本棚はまるでご主人のギャラリースペースのようです。本棚の下に置いた木製のボックスには奥様が英字のステッカーを貼り、こちらも海外風に見えるようにDIYでアレンジ。実は奥様のDIY力は相当のもの。その力が一番発揮されているのが、LDの隣にある子供部屋です。ここは当初白壁に無塗装のフローリングを床に張っただけのシンプルなお部屋でした。「毎日一人で少しずつ塗装していきました。かなり大変でしたが、完成した時の達成感といったらもう嬉しくて!」と奥様。壁は鮮やかなイエロー、そして床は明るめのブラウンで塗装しました。今はお子様の遊び場として使っていますが、天気の良い日には家族3人でごろごろしながらお昼寝することもあるんだとか。そんなK家族のお気に入りはモルタルを敷いた玄関の土間スペース。約3㎡の開放的な土間にはたくさんのグリーンが飾られています。グリーンのお手入れがしやすいようにと、あらかじめ土間の壁に蛇口を設置。こうすることで、毎日のグリーンの水やりがとっても楽になったそう。また天井にはレールを取付けてグリーンを吊るせるように工夫。今ではグリーンだけでなくお子様の小さな自転車もインテリアとしてディスプレイしています。取材中ふと窓際を見ると二重窓の間に小さな観葉植物が置かれています。「土間からバルコニーにつながる二重窓の間に隙間があって、怪我しちゃいそうだったんですよね。とりあえずレンガと板を合わせて隙間を埋めてみました。完成した後窓際が寂しかったので、ついでにグリーンを置いてみたら簡易の温室ができちゃいました!偶然の発明です!」とお二人。取材に同行していたデザイナーもこのアイディアには驚きです。お二人が選りすぐった海外アイテムが散りばめられたヴィンテージ空間。ここにいるだけで、まるでアメリカ映画の中へタイムスリップしたかのような気分になりました。
古き良きアメリカンライフ
リノベーション後お掃除が楽しくなったという奥様。「リノベーションをして前よりもずっと好きなものを長く大切にしていきたいと思うようになったんですよね。それは家もアイテムも同じです。主人も進んでお掃除を手伝ってくれるようになりました!」とにっこり。休日天気が良い日には、バルコニーにシートを広げピクニックをしているというH家族。グリーンに囲まれ、心地よい風を感じながら外で食べる奥様の料理は格別です。「昼はバルコニーにいるのが好きですが、夜はリビングでゆったりと寛ぐのが良いんですよね。子供が寝静まったらスピーカーで好きな洋楽をかけて、2人でソファに座り、おしゃべりしたり好きな本を読んだりしてます。好きな物を詰め込み、好きな部屋で、自分達の好きな事ができるって本当幸せだなって思うんです。」とお二人。こだわりのアイテムが映えるヴィンテージ空間にはこれから様々な3人の思い出が重なり合い、さらに味わいを増していく事でしょう。