12年越しの夢
東京スカイツリーを望む、墨田区の下町。このエリアに住むTさんは、ともに不動産関係にお勤めのご夫婦、12歳の長男、10歳の長女の4人家族です。
2013年に当時築17年の中古マンションを購入し、ここで12年間暮らしてきたTさん。本当は購入当初、リノベーションしてから入居したいと思っていたものの、奥様が妊娠していたこともあり、そのまま入居したと言います。
「やっぱり間取りが気に入らないし、収納も少ないし、ずっと不便で不満で。『じゃあリノベーションしようか』と思っても、なかなか重い腰が上がらなかったんです」と、奥様。途中、他のリノベーション会社に依頼して収納スペースを造作してもらったものの、家全体がきれいになったわけではないので、フルリノベーションしたい気持ちは依然として続いていたそうです。
そんな中、奥様がInstagramで、nuリノベーション(以下nu)の完成見学会が近所で開催されるという情報を発見。ご主人もその頃たまたまnuのホームページを見ていて気になっていたため、早速申し込んだと言います。
「実際にnuの手掛けた空間を見学してみたら、とても素敵でおしゃれでした。アドバイザーさんの対応もすごく良くて、良い意味で営業感がないところも私たちには良かったですね。それで、正直その日はまだ本気じゃなかったんですけど、その場で『もうやろう!』と決めて…」と、ご夫妻。
その後、他のアドバイザーとも打合せを重ねる中で、そのソフトな人柄や親身に相談に乗ってくれる姿勢に強い信頼を感じるようになったそうです。
「やっぱりプロ。アイデアをたくさんお持ちで、その場で『こうしたらいいんじゃないですか』と提案してくれて。玄関に土間も作れるんですよと言われて、マンションでそんなことができるんだと驚きましたね。私たちはただ間取りや収納の不満を解消したかっただけで、良い意味でこだわりや目指す世界観はなかったんですけど、提案を聞くうちに『それ以上の家がつくれるんだ!』って」と、目を輝かせるご夫婦。
こうして、長いあいだ心の片隅にあった「いつかリノベーションしたい」という思いが、一気に動き始めました。
透ける境界、ふたりの気配
Tさん夫妻が求めたのは、とにかく収納が確保されていて、暮らしが整う家。そんなお二人の希望を受け、デザイナーが掲げたコンセプトは“visual”。見せる場所と隠す場所にメリハリをつけることで、暮らしながらも美しいビジュアルを保てる住まいを目指しました。間取りは、LDKを広くするよりも3つの個室を優先。子ども部屋もしっかり確保し、玄関には土間をつくりたいとの希望から、デザイナーは3LDK+土間で設計していきました。内装は、奥さまの「シームレスでクール」、ご主人の「そこに少し木の温かみを」との希望から、LDと水回りにはグレーのタイル、リビングと各居室にはオークのフローリングを採用し、両者のバランスが取れた印象にしました。キッチンは全体的にグレーで統一し、壁付けとアイランドを組み合わせたセパレートタイプで造作。15畳のLDKを効率よく使うためにコンロ側は壁付けにし、シンク側はダイニングテーブルと一体になったアイランドを採用しました。ボッシュの食洗機も取り入れ、調理家電以外は“隠す収納”ですっきりとした印象に仕上がっています。

グレーと白でまとめた空間に、オークの床で暖かみをプラス。色数を抑え、生活感をすっきりと収めることで、澄んだ空気感が漂う。

全体をグレーで統一しながらも、素材の違いがワントーンの空間に表情を添える。

取っ手は、扉の面を美しく見せるJカットに。器やストック品などはすべて扉の中に収め、生活感を抑えた。
リビングの壁面クローゼットには、在宅勤務用のワークデスクとピアノを収納。建具を開けばそのまま使える仕様で、上部には資料や楽譜を仕舞える棚も設けました。
寝室はクイーンサイズのベッドが収まる4.9畳で設計。後から箪笥を置かなくて済むように、夫婦それぞれに壁面クローゼットを造作しました。
子ども部屋は、長男と長女用に一室ずつ、それぞれデスクとベッドを置ける3.7畳で設計。壁面クローゼットを造作し、家族一人に一つのクローゼットがある住まいを実現しました。
洗面脱衣所はグレーの天板とグレージュの洗面ボウルで造作し、モダンなデザインのミラー付き収納を採用。廊下の壁面クローゼットには、今後購入予定のルンバの基地も設け、内部に充電用のコンセントも完備しました。

必要な機能を壁面収納に集約し、リビングの広さを保ちながら空間を有効活用した。

ノイズレスな空間に合わせ、扉のラインをグリッド状に整えた端正な収納を造作。
奥行きのある2.5畳の玄関土間には、約40足を収納できる可動式シューズラックを造作。奥には納戸としても使える収納棚も設け、ゴルフバッグやボクシンググローブも仕舞えるようにしました。
「玄関横の窓からはスカイツリーや墨田区の花火大会が見えるので、ここで鑑賞したいという気持ちもあって、土間を広くしてもらったんです」と、ご主人。
その他にも、デザイナーの細かな提案が生きているそうで、コンセントを各所に散りばめてくれたこと、ロールスクリーンを提案してくれたことなども満足度が高いと言います。
「キッチンのタイルは特に気に入っています。私たちは普通の小さいタイルをイメージしていたんですが、デザイナーさんが『大判で線が少ない方が良いと思います』とおっしゃって。実際、大判タイルにして大正解! 線が少ないから視覚のノイズが少なく、整った印象のLDKになりました」。
こうして、端正なインテリア性と収納力が両立した住まいが完成しました。

清潔感のある玄関から、リビングの奥までまっすぐに視線が抜ける。

洗面台は、ダイニングキッチンとデザインを揃えてオリジナルで造作。
丁寧な暮らしと夫婦時間
約65㎡という限られた空間に、3LDK+土間という希望を叶えたTさん邸。住み始めて2カ月、暮らしは大きく変わったと言います。
「私は料理が好きじゃないけど、リビングを見ながら料理できるので気分がいいです。食洗機のおかげでお皿洗いもラクになったし、洗濯物も乾燥後すぐ収納できるから、『あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ』と時間に追われるストレスから解放されました。おかげで自分時間が増えたので、SNSを見たり、英語の勉強をしたりして楽しんでいます」と、奥様。ご主人も続けます。
「以前は4人で雑魚寝していたけど、今はゆっくり寝られるようになりました。物が少なく、全てがきちんと収納されているので、心が整って静かな気持ちで暮らせています」。
お気に入りのインテリアは、nuのインテリアスタイリングサービス<decoる>で購入した、フランネルのソファ、セブンチェア、USMハラーのTV台。デザイナーがそれぞれ7~8種類の選択肢を提案してくれ、その中から選択できたので迷うことなく選べたと言います。

家族が集うLDKと個室、それぞれの快適性を両立。家族みんなが、思い思いの時間を楽しめるようになったそう。

ダイニングの椅子には、アームレスですっきりとした佇まいのセブンチェアをセレクト。

タイルやメラミンの硬質な素材に、ブラインド越しの柔らかな光がほどける。
変わったのは、暮らしだけではないそうで…。
「最初の方に、アドバイザーさんから『これからは夫婦の時間も大切にしてみては?』と言われて。それまでは夫婦の時間という概念がなかったので、雷に打たれたような気持ちでした」と、ご主人。それを機に、nuの広尾オフィスでの打合せ帰りに夫婦でカフェに立ち寄るなど、10年ほどなかった夫婦時間が再始動したと言います。
これからは、食器やコーヒーメーカーを少しずつ揃えながら、丁寧な暮らしと夫婦時間を楽しんでいきたいのだとか。
「スケルトンからフルリノベーションして、家具も全て新調したので、心底リフレッシュできました。私たち夫婦も不動産の仕事をしていますが、人の人生にこれほど影響を与える素敵な仕事なんだと再認識しましたね。nuの皆さんは命の恩人のような感じ(笑)。価格以上の納得感と充実感があります。家はただ住むだけの場所だったけど、今は私たち家族の人生そのものです」、そう笑うご夫婦。
Tさんご家族の第2章は、まだ始まったばかりです。
Interview & text 安藤小百合



