大注目の建築意匠・アール。人気の理由と空間に取り入れるポイント
リノベーションで近年注目が集まる建築意匠の一つであるアール。
今回は、そんなアールをリノベーション空間に取り入れる際に知っておきたいアイデアをご紹介します。

物件探しから設計・施工、インテリアまでをワンストップで手掛けるnuリノベーション(株式会社ニューユニークス)のスタッフ。
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アールが人気の理由
一般的に直線的な構造が多い日本の住宅の中に曲線的なアールの意匠を取り入れると、柔らかさが表現できたり、単調になりがちな空間にアクセントを加えることができます。
以前は『アーチ開口』と呼ばれる、上部が半円状になった入り口を造作するケースが多く、nuリノベーション(以下、nu)の施工事例でも7年ほど前からこのアーチ開口のリクエストをいただくケースが増えていきました。
・リノベーション事例:「fleek」(東京都江東区)
キッチンに隣接するパントリーの入り口にアーチ開口を取り入れたKさん。
ナチュラルさとハードさがバランスよく混在した空間の中で、アールがアクセントとなっています。
よく見るとアーチの先端が完全なアールではなく、少し尖っています。
これは新木場にあるインテリアショップ『CASICA』の内装を参考にしたKさんのこだわりポイントだそう。
Kさん:デザイナーさんと話し合いながら、微調整を繰り返してこの形が実現しました。家の中で一番こだわったポイントです!
Kさんのお宅をはじめ、その後も家の中のさまざまな箇所にアール開口を取り入れる事例が増えていきました。
■エントランスへの通路に
・リノベーション事例:「antique×ダウンフロア」(神奈川県横浜市)
■ウォークスルークローゼットの出入り口に
・リノベーション事例:「Traditional」(東京都大田区)
アールの多様性
近年になると、アールを取り入れる箇所や、その形状もますます多様化。
ここからは、nuの施工事例の中でも人気の高いアールを取り入れた空間を5つ厳選してご紹介します!
CASE1 | 曲がり角をアールに
・リノベーション事例:「ととのい」(東京都江東区)
リビング、パントリー、土間など、空間の中で曲がり角となる壁を全てアール加工で設えたK邸。
プロダクトデザイナーというお客様のご職業柄「手触りのいい雰囲気を出したかった」と、アールの角度までこだわって設定しました。
パントリーの入り口は片側のみ角にアール加工を施したアーチ開口を造作。アースカラーを基調としたやさしい雰囲気とも相まって、心と身体の整う柔らかな空気感を生み出しています。
CASE2 | 上り框をアールに
・リノベーション事例:「terracotta×KITCHEN」(東京都世田谷区)
25畳のLDKを、床材の切り替えと段差でゾーニングしているこちらのお宅。
角をアールにすることで、足を引っ掛けたり転んで角に頭をぶつけたりする危険性を排除。意匠性だけでなく、安全性も向上できるアイデアです。
LDKと寝室を隔てる壁の角、WICへつながる通路の開口にもアールを採用。
要所にアールの柔らかさがあるからこそ、建具の框組や造作キッチンの直線的なデザインが引き立っています。
CASE3 | 造作キッチン・造作洗面をアールに
・リノベーション事例:「ニュアンス×maison」(東京都)
アーチ開口や、ぽってりした丸みのあるデザインが好きというアサノさんがつくり上げた空間。
壁面収納やWICなど随所にアールを取り入れた空間の中でも、一際目を引くのがタイル張りの造作アイランドキッチンです。
角を丸く削り、アールのコーナータイルで納めたフォルム。
硬い印象のタイル素材と柔らかなアールの印象がコントラストを生み、唯一無二の空気感をつくり出しています。
洗面台もキッチンと同じ設えで造作。
隅々までご自身の世界観で彩られた空間で、毎日「この家がすき」と実感しながら過ごしているといいます。
CASE4 | 開口、梁、ライン照明…至る所にアールを
・リノベーション事例:「ニュアンス×プレーン」(東京都江東区)
「コブハウスの有機的なデザインがすごく好き」というSさん。自然素材の持つ柔らかな空気感を、アールの意匠で空間に表現しました。
Sさん:四角い家は私にとっては合理的すぎるというか。Rは無駄な空間を生むから既成の物件には無いデザインですが、私はその無駄を楽しみたいし、どこから見てもときめく空間にしたかったですね。
梁や壁の角、開口部などアールをふんだんに取り入れたS邸ですが、その中で最も着目したいのは、天井一周にぐるりと配されたライン照明です。
ご主人がインスタグラムで類似の照明を見つけてリクエストしたのだそう。
塗装仕上げの真っ白な天井面をふんわりと照らし出すライン照明。
ダウンライトも併設し、シーンに合わせて照度を調節できるよう配慮しました。
CASE5 |ロフトの壁をアールに
・リノベーション事例:「dot. 2nd」(神奈川県川崎市)
最後にご紹介するのは、7年前にnuでフルリノベーションしたご自宅に、追加工事でロフトを造作したY邸。
完全に壁を立ててしまうと閉塞感が出てしまうことから、座った時に視線が遮られるくらいの高さで壁を設定しています。
ロフト上部は程よい籠り感のある空間。
出入り口側の角をアールにすることで圧迫感が軽減されています。
最後に
どんなテイストの空間にもさりげないアクセントを加えてくれるアール。
記事内でご紹介した事例以外にも、アールを取り入れた素敵な空間を掲載していますので、施工事例ページから、ぜひ好みのアールを探してみてくださいね。