珪藻土で仕上げられた面には、
他の素材では表現できない奥行きがあります。
自然素材ならではのムラ。
そのゆらぎに重なる、柔らかな陰影。
ですが、その美しさは左官材を塗った瞬間に生まれるものではありません。

■素材は、最後に現れる
珪藻土という、素材自体が持つムラ。
その陰影こそが、この素材ならではの魅力です。
だからこそ、 現場が目指すのは壁を平らにすることではありません。
見せたい陰影だけを、美しく浮かび上がらせること。
そのために、
下準備を丁寧に重ねていきます。
パテを重ね、乾燥させる。
もう一度確認し、平面の精度を高める。
現場では、同じ工程を何度も繰り返しながら壁を少しずつ整えていきます。
ビス跡。
ボードの継ぎ目。
下地のわずかな段差。
仕上げてしまえば見えなくなる工程ですが、
その一つひとつを丁寧に整えることが、素材本来の表情を一番魅力的に見せることにつながっていきます。
そしてこれは、珪藻土などの左官材に限った話ではありません。
クロスは、凹凸を拾うとひび割れてしまう。
木板やタイルを貼る場合も、
少しずつ割り付けがずれてしまったり、仕上げ面が平滑にならなかったり。
仕上げとなる素材が何であったとしても、
その魅力をできるだけそのまま引き出すために、私たちはそれらと向き合う必要があります。
同時にそれは、仕上げにその素材を選んだお客様の思いを受け止めるということでもあります。
「この質感が好き」
「この空気感の中で暮らしたい」
設計の段階で抱いたそんな思いを、
暮らしが始まってからも感じられる空間をつくる。
それも、私たちの仕事です。
■下地は仕上げの一部
下地工事は、“仕上げ工事と別の工程”ではありません。
それは、素材の魅力を引き出すための“最初の工程”。
最後に現れる仕上げの美しさは、
その前に積み重ねられた目には見えない工程の中で、少しずつ形づくられています。
