nuスタッフの小西が住まい手として、創り手として。
自宅リノベで気づいたことや、細部がもたらす心地よさを、全10話で綴っていきます。
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第7話では、インテリアについてお話ししました。
今回は視点をグッと狭めて、少しニッチな小口の話です。
・“端っこ”で変わる印象
家具や収納を眺め、時には写真を撮ったりしていると、
ふと視線が吸い寄せられる場所があります。
それは“端っこ”。部材の切り口を意味する、小口と呼ばれる部分です。
普段は仕上げの影に隠れていて、なかなか気づかれない存在かもしれません。
けれど、そこにどんな処理を施すかで、空間の印象が変わってきます。
例えば「小口テープ」と呼ばれる、仕上げ材と同じ色のテープを貼って馴染ませたり、
留めと呼ばれる加工をしたり、あえて積層合板の断面を見せてリズムをつけたり。
部材同士が交わる数センチの中に、いくつもの工夫があり表情が宿ります。
以前お話ししたキッチン収納の面落ちもそのひとつ。
仕切り板の小口が数センチだけ勝っていて、そこを扉と同色の小口テープで整えています。
ほんのわずかな段差や色合わせに、心地よさや静かな品が生まれる。
小口とはそんな繊細な役割を持つ場所なのだと思います。
・心奪われた什器
家づくりをしていた時、友人と青山周辺のインテリアショップを回っていました。
たまたま入ったスタジオニコルソンの内装がすごく素敵で。
水面のようにツヤっと光沢のある床に反射する光の揺らぎ。
白でまとまったシンプルでスタイリッシュな空間と什器に、自然素材のアクセント。

特に惹かれたのは什器のデザイン。
積層合板と白の組み合わせが端正で、でもどこか愛らしく感じて。
自分の家に取り入れたいと思っていました。

・暮らしに寄り添うときめき
そのエッセンスを取り入れたのが我が家のWIC。
廊下に面したオープンな場所なので、
シンプルの中にも心ときめく細部の仕掛けが欲しかったのです。

最初はお店のように木のハンガーバーを計画していたけれど、
服の量を考えると少し不安で。
受け材を少し大きくし、バーはステンレスに変えました。
さらに角を丸くアレンジ。
結果的に当初のイメージとは少し違っても、私たちの日常に寄り添ってくれる仕上がりになりました。
そして、トイレの棚板も小口のデザインをお揃いにしています。

細かい部分だけれど、統一感が生まれると同時に、
家のあちこちにお気に入りが散りばめられ、
視線がふと止まるたびに小さなときめきを感じます。
・柔らかくなめらかな無機質
妥協をしたくなかった素材の一つ、洗面の人工大理石。

「掃除がしやすいものがいい」という夫の要望で、
洗面ボウルは置き型ではなく洗面台と一体型を選ぶことに。
モールテックスやビールストーンなど質感のある素材に心惹かれたりもしましたが、
どちらにせよ洗面台は真っ白と心に決めていました。
そのため毎日のお手入れのことを考えると、質感がある素材よりもメンテナンス性を重視しようと思い、最終的に選んだのは人工大理石でした。
人工大理石は均一な素材で、研磨をすれば継ぎ目がスッと消えます。

メラミンのように色柄は豊富ではないし、
人造大理石のように本物の石に近い質感もないけれど、
私が欲しかったのはシンプルで無機質な白。
グッと近づいても小口が目立つことなく一体感のある仕上がりで理想通り。
毎朝使う場所なので、ふと愛でるように撫でている時もあるぐらい、
柔らかくてなめらかなデザインがお気に入りです。
小口という、ほんの数ミリの違い。
けれどそのわずかな表情が暮らしの中で小さなときめきとなってくれます。
空間としての質も上がるし、自分にそっと寄り添ってくれる味方のような存在。
こうした細部の存在が、私の心に余白をくれます。
次回は寝室の話。
我が家の唯一の個室をどのようにつくっていったのかをお話ししていきます。