
パーケットフローリングの温もりに、モールテックスやタイルの無機質さ。新築建売を自分たち好みにリノベーションした空間には、コーヒーの香りと穏やかな時間が流れていました。

憧れを叶える
湘南の人気エリアに住むYさんは、会社員のご主人と、現在は専業主婦の奥様の2人暮らし。2階建ての新築戸建を購入し、リノベーションを加えてお住まいです。以前は同じ沿線にある賃貸のテラスハウスに住んでいましたが、近年の物価高や住宅まわりの価格高騰を見て、マイホームを買うなら早めがいいと考えたと言います。
「いつかは持ち家で自分たちの好きな空間をつくりたいと思っていたし、老後のことを考えても、掛け捨ての家賃を払うのではなく、資産を持ちたいと考えていて」と、ご夫婦。インテリア雑貨の販売歴が長かった奥様は、以前から<POPEYE>や<&Premium>などの雑誌を愛読しており、自然と「家を持つならリノベーションで」と考えていたそうです。
早速、物件探しとリノベーション会社探しを開始。はじめは中古の戸建をメインに見ていましたが、なかなか希望に合う物件がなく、新築にも候補を広げて検索することに。そして、このエリアの3軒を内見し、一番気に入ったのがこの物件だったと言います。
「nuリノベーション(以下nu)さんは、以前からインスタグラムを見て知っていました。ベースはシンプルなのに細部にこだわっていて、すごく良いなって。実は、最後まで注文住宅も検討したんですけど、使える建材に縛りがあることが分かって、やっぱり自由度が高いnuさんでリノベーションしたいと思いました」と、奥様。
この物件はnuのアドバイザーにも内見に同行してもらい、希望するリノベができるかチェックしてもらったそうです。この家の決め手は、リノベ費用を加味しても予算内に収まる価格。立地は駅近ではないものの、最寄り駅までがバスが出ているので通勤に問題はなく、周辺環境が静かなことも好印象でした。また、新築だけに外観が綺麗で、82.80㎡と十分な広さ、敷地内の駐車スペースが広いことなども嬉しいポイントだったそうです。
「アドバイザーさんは、まず私たちの意見を聞いて、その上でプロとしての意見を言ってくれました。『現実的にこれはできる、これはできない』を冷静に判断してくれたし、アドバイザーさんも自邸をnuさんでリノベしていたので、その経験談も心強かったです。いい感じに砕けて話してくれて、親しみやすかったのも嬉しかったですね」と、ご夫婦。物件探し開始からここまでかかった期間は、なんと3ヶ月。順調な流れのまま、設計打合せが始まりました。

通い慣れたカフェ
ご夫婦が描いたのは、朝起きるのが楽しみになる暮らし。日当たりの良い空間でくつろぎながら、2人でコーヒーを楽しむ毎日をイメージしていました。テイストは、奥様が以前勤めていたショップのような、北欧×アメリカンを希望。また、持ち込み予定だったダイニングセットやソファが馴染む内装をイメージしていました。
間取りは、1階・2階ともに既存を活かしつつ、部分的に変更。1階は、玄関、洋室2つ、水回りの位置はそのままに、洋室2つの間にWICを新設し、洗面台のデザインを変更しました。
2階は、基本の間取りはそのままに、大きなLDKとしてトータル的にデザイン。LDKと洋室の間の壁は筋交いのみを残し、ゆるやかに繋がる大空間に変更しました。
1階の洗面台は、モールテックス天板、ヘリンボーン張りの白タイル、マリンライトでインダストリアルな雰囲気に。夫婦で並んでも余裕の横幅で、朝の身支度もスムーズです。また、WICは夫婦2人分の洋服が余裕で収まるサイズで設計し、他の空間に洋服が散らからないよう考慮しました。

全面的に装いを新たにした2階のLDKは、既存の高い天井を活かした伸びやかな空間。天井と壁は白の塗装、床はカジュアルな印象のパーケットフローリングを採用し、キッチンエリアとインナーテラスの床はグレーの磁器質タイルで表情を切り替えました。
戸建ならではの筋交は、木の風合いが引き立つオープンシェルフにチューンアップ。建具はすべてブラックのものに変更し、アメリカンな印象に仕上げました。
また、「おこもり感覚で過ごせるスペースが欲しい」というご夫婦の声から、モールテックスの広々ベンチを窓辺に造作。ベンチの横には死角になるニッチ収納を設け、御札などを飾れるようにしました。最もこだわったのは、キッチンと、造作のコーヒーカウンター。壁付けのキッチンは既存を活用しつつ、前面に白の磁器質タイルをあしらい、食器を飾れる造作棚も設置しました。Rのシェイプが有機的なコーヒーカウンターには、ご夫婦が好きな
LDKに隣接する4.1畳のフリースペースは、レコードを聴いたり、本を読んだりするリラックス空間。LDKとは違う印象にするために、壁はグレー塗装にしました。1.5畳とコンパクトなワークスペースは、上部が開閉できる室内窓で仕切り、光と視線が抜けるように。「窓を閉めれば声もほぼ漏れないので、リモート会議も問題ありません」と、ご主人は頷きます。こうして、ONもOFFも快適な、自分たちだけのカフェ空間が完成しました。

いい時間が増える喜び
この家に住んで1年5カ月。理想の実現度について伺うと、「迷いなく100点です。以前の賃貸は生活音に気を遣うこともあってストレスでしたが、今は音を気にせず過ごせてノンストレスだし、理想を詰め込んだ空間なので、とてもリラックスできています」と、ご夫婦。
キッチンが広くなったことで料理の効率も上がり、カウンターがあることで盛りつけもラクに。お皿もたくさん収納できるので、好きなお皿を購入できるようになったのだとか。
「おかげで、もっと色んな料理をつくりたい気分になっています。以前は週4回ほど外食して、毎週のように飲みに行っていましたが、今は外食の回数も減り、家飲みが増えました」。
朝が苦手だった奥様は、朝ごはんをつくったり、コーヒーを淹れたりするのが楽しみになり、スムーズに起きられるようになったと言います。
「そんな感じで、生活習慣の改善も叶いました(笑)。今はほとんど家にいますが、じっくり家事をしたり、この家に来てから始めたYouTube(※)の撮影をしたりして、毎日楽しんでいます。綺麗に保ちたいから、整理整頓や掃除も前向きにやるようになったし、色々と活動的になりました」と、奥様。
幸せを感じる瞬間は、コーヒーカウンターでのひととき。ご主人は、奥様が淹れてくれるカフェラテをカウンターでゆっくり楽しむのが至福で、2人でベンチに並んでゆっくり映画を観る時間も最高に幸せなのだとか。
最後に、今回のリノベーションの総括を伺うと…。
「自分たちの理想をつくり上げていく作業だったので、ワクワクして、打合せもすごく楽しかったです。もちろんお金とかの現実的なところはありましたが、理想がある私たちにはリノベが合っていました。過程の一つひとつが良い思い出になったぶん家に愛着が湧いているし、リノベを選択して本当に良かったです」。
今後は、インテリアグリーンを増やしたり、犬を迎える準備をしたりしたい、と話すご夫婦。暮らしの続きは、奥様のYouTubeで拝見するとしましょう。

Interview & text 安藤小百合